サトシ・ナカモトの正体、米政府は知っている? 弁護士が情報開示を請求

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

“会った”とされる捜査官の発言を検証へ

米国の弁護士ジェームズ・A・マーフィー氏は7日、ビットコインの創設者とされるサトシ・ナカモトの身元に関する文書の開示を求め、情報公開法(FOIA)に基づき、米国国土安全保障省(DHS)を提訴したと発表した。

FOIAは、一部の例外を除き、請求に応じてすべての政府情報を公開することを義務づける米国の法律である。

マーフィー氏が連邦地方裁判所に提出した訴状によれば、2019年4月29日に開催された『北米オフショアアラート・カンファレンス』において、DHS特別捜査官であるラナ・サウド氏が登壇し、「DHSはサトシ・ナカモトの身元を把握している」と発言したという。

さらにサウド氏はその講演の中で、「あるDHS捜査官が『サトシ・ナカモトに会いたい』と言い出し、最初は半信半疑だったものの、捜査官らは実際にカリフォルニアに飛び、本人とされる人物に加えて、ビットコインの開発に関与した他の3人とも面会した」と説明。捜査官たちはその場で、ビットコインの仕組みに加え、その構想や開発の動機について本人たちから直接聞いたという。

マーフィー氏は、今回の提訴にあたり、「近年、米国ではビットコインに対して大規模な公的および私的投資が行われている状況にある。そうした中で、自身を含む一般市民が、ビットコインの創設に関わった主体について、連邦政府がどのような情報を把握しているのかを明らかにすることは極めて重要だ」とし、以下の情報の開示を求めている。

  1. カンファレンスで行われたDHS特別捜査官ラナ・サウドの公的声明のすべての記録
  2. サトシ・ナカモトを称する人物にDHSが行ったインタビューの記録
  3. ビットコインを開発したと称する人物にDHSが行ったインタビューの記録
  4. ビットコインの作成者(複数を含む)の身元について議論した記録

マーフィー氏はこれらの情報を得るため、2025年2月12日にDHSに対してFOIA請求を提出。実はそれ以前にも関連する請求を1月に行っていたが、今回の請求は範囲や内容に違いがあり、正式な別件として扱われている。しかし、提出から60日以上が経過しても十分な返答が得られなかったことから、今回の法的措置に踏み切ったとされる。

マーフィー氏は「DHSが実際には本物のサトシ・ナカモトに会っていなかった可能性も十分にある」としたうえで、「それでもなお、開示に対してDHSが抵抗するのであれば、私はこの事件を最後まで追及し、この謎を解き明かしたい」とコメントしている。

これまでにも、サトシ・ナカモトの正体ではないかと疑われた人物・自称した人物は数多く存在したが、いずれも明確な証拠が提示されたことはない。仮にDHSが実際にナカモト氏本人、あるいは関係者とされる人物と面会し、その記録を保持しているのだとすれば、仮想通貨業界にとっては大ニュースとなる。マーフィー氏による今後の報告に注目が集まりそうだ。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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