- 流動性を提供して利息を得ることができる、DEX「PancakeSwap」の概要を解説
- PancakeSwapでできることを解説
- PancakeSwapのメリット・デメリットを解説
DeFiに興味のある方なら、一度はPancakeSwap(パンケーキスワップ)という名前を聞いたことがあると思います。何やらおいしそうな名前ですが、もちろん食べ物とは関係ありません。
PancakeSwapとは流動性を提供して(仮想通貨を預けて)利息を得ることができる、DEX(分散型取引所)のことです。
とはいえ、
- 難しい用語が多すぎてよくわからないんだけど・・・
- そもそもPancakeSwapってどう始めればいいの?
- PancakeSwapで損するリスクとかはあるのかな?
という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、PancakeSwapの特徴や始め方、リスクなどについて図解付きで詳しく解説していきます。
PancakeSwap(パンケーキスワップ)とは?

そもそもPancakeSwap(パンケーキスワップ)とは、ざっくり言ってしまうと、仮想通貨を預けることで利息が増やせる取引所のことです。
ただし管理者がおらず、プログラムによって自動で動いているのでDEX(分散型取引所)と呼ばれています。
PancakeSwapの特徴は以下の3つです。
DEX(分散型取引所)である
DEXとは「Decentralized Exchange」の略で、日本語では「分散型取引所」と訳されます。仲介者・胴元となる企業が存在せず、ユーザー同士で直接取引のやり取りができる場所です。
分散型取引所の反対は「中央集権型取引所」と呼ばれていて、イメージとしてはメルカリを思い浮かべるといいと思います。
ユーザー同士で取引はできますが、胴元のメルカリにある程度の手数料を払わないといけないですし、場合によっては強制的に退場させられる可能性のある世界です。もちろんトラブルが起こったときは仲裁をしてくれるなどのメリットもあります。
DEX(分散型取引所)はメルカリのような管理者がおらず、取引はあくまでユーザー同士で完結するものになります。
なぜ管理者がいなくても取引が成立するかというと、「スマートコントラクト」という仕組みを使っているからです。スマートコントラクトとはあらかじめ決めたルールを事前にプログラムしておき、条件を満たすと契約が自動的に実行されるシステムのことで、自動販売機によくたとえられます。
その名の通り、自動販売機は人の手が間に入らず、自動で商品の購入が完了する機械です。
150円のコーラを買おうとした場合、150円を入れればジュースが出てきますが、140円を入れてもお金が足りないのでコーラは買えません。
商品の購入から決済に至る自動販売機の一連の流れはスマートコントラクトを理解するうえでとてもわかりやすいと思います。
BSC(バイナンススマートチェーン)を採用
PancakeSwapは、BSC(バイナンススマートチェーン:Binance Smart Chain)と呼ばれるブロックチェーン技術をベースに構築されています。バイナンスと名前がつくことからもわかるように、バイナンスがサポートしているブロックチェーンです。
超高速取引の実現やスマートコントラクトへの対応、そして何より手数料が安いことがウリとなっています。
BSCがPancakeSwapに採用されたことで、取引高が一時イーサリアムブロックチェーンを超えたことが話題になりました。NFTゲームにもBSCはよく採用されていて、将来性の高いブロックチェーンだといえるでしょう。
独自トークンであるCAKE(ケーキ)を発行
自分が持っている仮想通貨をPancakeSwap内に預けると、報酬として独自トークンであるCAKEがもらえます。
この仕組みはイールドファーミングと呼ばれています。
現実世界でも銀行にお金を預けると利息を受け取ることができますが、PancakeSwapだと銀行に預けるのとは比較にならないほどの高い利息が手に入ります。
CAKEはビットコインや米ドルと連動しているUSDTと交換できる仮想通貨で、安定した人気を誇っています。
Pancakeswapで何ができる?
PancakeSwapでできることは主に以下の6つです。
仮想通貨の交換
Swap(スワップ)とは仮想通貨の交換のことです。銀行で円をドルに換えるのと同じイメージですね。
ETH(イーサリアム)をBNB(バイナンスコイン)に変えるなどの仮想通貨同士の交換になります。
PancakeSwapに仮想通貨を預けると、報酬としてCAKEトークンがもらえますが、預ける仮想通貨によって稼げる量が変わってきます。なのでSwapを使ってより稼げる仮想通貨に交換するのも一つの手です。
2つの仮想通貨を預けてCAKEを得る(ファーミング)
PancakeSwapの最大のウリは、自分が持っている仮想通貨を預けて独自トークンであるCAKEを報酬として受け取れるファーミングという仕組みです。
ユーザーは保有している2つの仮想通貨をペアとしてPancakeSwapに預けることで流動性を提供します。
取引所として成立するには多くの通貨を集めて流動性を高くする(取引量を増やす)ことが必要不可欠です。
なので流動性を提供したユーザーにはその見返りとして、CAKEを報酬としてお返ししますよという流れになっています。
長い時間預けておけば、さらに多くのCAKEを受け取ることができ、CAKEを受け取ることを「収穫(Harvest)」と呼ばれています。
CAKEを預けてCAKEや他の仮想通貨の報酬を得る(ステーキング)
自分が保有しているCAKEを、Poolsに預けてCAKEや別の仮想通貨の報酬を得ることをステーキングといいます。
ステーキングを解除(unstake)することで、CAKEは再び戻ってきて取引可能な状態になります。
宝くじ(Lottery)

PancakeSwap Lotteryは、CAKEを投入することで参加ができる宝くじ方式の稼ぎ方です。1日2回、12時間ごとに抽選が行われます。
チケット購入者にはランダムで6つの番号が振り分けられ、当選番号「Winning Number」と合致したらCAKEが報酬としてもらえる仕組みです。
すべて一致すればもちろん高額のCAKEが得られますが、一致した桁数によっても報酬がもらえます。当選番号が「123456」だとして、自分の持っている番号が「123987」だとしたら、最初の3桁は一致していますよね。そうすると3桁一致した場合のCAKEの報酬が受け取れます。
日本の宝くじにもよく似ていますよね。
IFO

IFO(Initial Farm Offering)とは、新しい仮想通貨の誕生をみんなで支援する資金調達プロジェクトの一種です。投資家は見返りとして、取引所に上場する前にトークンを獲得できるので今後の値上がりが見込めます。
参加するにはまずプロフィールを設定し、CAKEとBNBを流動性として提供しLPトークンを作る必要があります。
次に、1人が投入できるLPトークンの量が決まっている「Basic Sale」と、LP制限はないが参加費用がかかる「Unlimited Sale」のどちらかを選択します。倍率が高く、必ずしも投入したLPトークンがすべて承認されることはなく、戻ってくるLPトークンも多いです。
IFOは常に開催されているわけではありません。
PancakeSwapではIFOの開催時期が近付くと、資金調達を希望している新しい仮想通貨プロジェクトの詳細が発表されるので定期的に確認しておくとよいでしょう。
NFT

PancakeSwapではNFTマーケットも遂に公式オあープンしました。公式NFTの売買ができる「PancakeBunnies」と「Pancake Squad」を中心にユーザーから熱い視線を注がれています。
限定1万個のNFTを販売した際は開始1分とたたずに完売。現在NFTは空前のブームとなっており、DeFiよりも盛り上がりを見せています。
PancakeSwapのNFTもうまく波に乗れていますね。
PancakeSwapのメリット
PancakeSwapは最も人気のあるDEX(分散型取引所)の1つです。ではどうして他のDEXよりも人気があるのでしょうか。
それは次の3つのメリットがあるからです。
手数料(ガス代)がとにかく安い
PancakeSwap(パンケーキスワップ)の手数料(ガス代)はイーサリアムベースのDEXと比べるとかなり安いです。
ガス代(Gas Limit)とは送金の際に発生するデータ処理(マイニング)を行ってくれる人(マイナー)に支払う手数料のこと。
現在イーサリアムベースのDEXではガス代の値段が高騰していて、初心者が参入するにはハードルが高めとなっています。
イーサリアム系の「Uniswap」の手数料が数百円〜数千円かかるのに対し、「PancakeSwap」では数十円で済んでしまうこともあります。
処理スピードが速くサイトも見やすい
BSCベースのPancakeSwapは処理スピードが速く、1分とかからず完了します。
サイトも明るい色を使っており見やすく、パンケーキをモチーフとしたかわいいキャラクターたちが彩りを与えています。ストレスなく利用することができます。
仮想通貨を預けて報酬をもらえるイールドファーミングができる
PancakeSwapの最大のメリットは、仮想通貨を預けて利息を受け取れるイールドファーミングができることです。
仮想通貨を預けると独自トークンである「CAKE」を受け取れる流動性マイニングの仕組みが多くのユーザーから支持され、PancakeSwapは世界屈指のDEXになりました。
FXや株式投資よりも高い利回りで資産を増やせる可能性が高く、テクニカル分析などの難しいトレード知識も必要ないので、多くのユーザーが殺到するのは必然だと言えますね。
PancakeSwapのデメリット
高い利率でお金を稼げるからには、当然リスクやデメリットがつきものです。
しっかりとPancakeSwapのデメリットを把握することで未然に失敗を防ぐことができるようにしましょう。
運営に資金を持ち逃げされてしまうラグプルリスクが存在する
PancakeSwapの独自トークンであるCAKEはバイナンスにも上場しており、信頼性の高いDEXであることは間違いないのですが、開発者が誰であるのかということはわかっていません。
なので、運営側が資金を持ち逃げしてしまう「ラグプルリスク」は常に頭の片隅においておいた方がいいと思います。
実際、仮想通貨は有象無象のプロジェクトが乱立しており、悪意のある運営が資金を持ち逃げして雲隠れしてしまう例が結構あります。
インパーマネントロスを考慮しておく必要がある
インパーマネントロス(Impermanent Loss)とは、2種類のトークンをPancakeSwapを預けて流動性を提供していた場合に、どちらか一方のトークンが急激に値上がりしたり、値下がりしてしまった場合に損をするリスクです。
PancakeSwapに預けていたトークンの価値が、預ける前よりも低くなって手元に戻ってくることになります。
イールドファーミングを行う上において、必ず考慮しておいたほうがいいリスクです。初心者のうちは、価格変動の低いステーブルコインのペアで預けておいたほうがいいでしょう。
インパーマネントロスの計算はとても複雑ですが、「Yield watch」といったサイトで調べることができるので、計算式を覚えておくことは不要です。
サービスの終了やCAKEトークン自体の価値が暴落してしまう可能性
ファーミングをするとCAKEがもらえるPancakeSwapですが、そもそもCAKEトークン自体の価値が暴落してしまうと、報酬も少なくなってしまい意味をなさなくなってしまいます。
上場した通貨とはいえ、CAKEはビットコインほど価値が確立されたコインではありません。
また、PancakeSwapよりもさらに魅力的なDEXが台頭すると当然人気は下がってくるわけで、サービスの終了ということも今後起きうることは注意しておいたほうがいいでしょう。
PancakeSwapを始める前に準備しておくもの
PancakeSwapを始めるためにはあらかじめ準備しておくことは次の通りです。
国内取引所(GMOコイン)の口座開設
まず、国内取引所の口座を開設しておきましょう。
どうして国内取引所を開設するかと言うと、海外取引所に仮想通貨を送金するために使います。
2024年11月現在、海外取引所に日本円を直接入金できるのは基本的にクレジットカード払いのみとなっており、手数料も高いです。なので海外取引所への入金は、日本円ではなく仮想通貨で行います。
おすすめの国内取引所は送金手数料が無料の、GMOコインです。
送金手数料が無料だと少額で何度も送金を試せますし、銀行からの入金も無料でできるので余計なコストがかからずに参加できます。
トラベルルールにより海外業者との送金やり取りができない場合があります。
その場合は、メタマスクなどのプライベートウォレットを経由して送金すれば問題ないので、焦らず対応してみてください。
海外取引所の口座開設
GMOコインでは、PancakeSwapに必要なBNB(バイナンスコイン)を買うことができないので、海外取引所を使う必要があります。
なので海外取引所の口座開設をしておきましょう。海外取引所はBybitがおすすめです。Bybitの口座開設や使い方ついては、「Bybitの使い方」の記事で詳しく解説しています。
BNBはPancake swapのガス代に使われるので保有が必須の通貨です。
Metamaskの登録
メタマスクはイーサリアム系の通貨を管理できるWebウォレットですが、設定を変えることでBSCベースのPancakeSwapでも使うことができます。
メタマスクの登録もパンケーキスワップには必要な作業です。
他にもいくつかwebウォレットはありますが、メタマスクでことは足りると思います。
PancakeSwapの始め方
まずはPancakeSwapのベースとなっているBSC(バイナンススマートチェーン)にMetaMaskを接続します。その後BybitからMetaMaskにBNBを送金します。
PancakeSwapの始め方
メタマスクは本来、イーサリアム用のソフトウェアウォレットなのですが、カスタム機能を使うことで別のチェーンにも接続できます。メタマスクでBCSウォレットを作成しましょう
「Binance Academy」の「メタマスクのバイナンススマートチェーンへの接続方法」というページを参考にしてください。
BSCに接続するには、メタマスクに新たにネットワークを追加する必要があります。
- ネットワーク名 Smart Chain
- 新しいRPC URL https://bsc-dataseed.binance.org/
- チェーンID 56
- シンボル BNB
- ブロックエクスプローラーURL https://bscscan.com
PancakeSwap公式サイトにアクセスし、右上の「Connect Wallet」をクリックします。

次はBybitに保有しているBNBをメタマスクに送金します。
やり方についてはBybitの使い方記事で確認してください。
PancakeSwapのSwapのやり方
実際にPancakeSwapを動かしていきましょう。まずは仮想通貨を交換できるSwapです。
今回は「BNB」を「CAKE」に変えていきます。
Swapのやり方
Pancakeswapのファーミングのやり方
2つの仮想通貨を預けてLPトークンをもらうファーミングを行っていきましょう。
LPトークンとは、「Liquidity Provider(流動性提供者)トークン」の略称で、分散型取引所(DEX)に流動性を提供する対価として受け取ることができます。ただし、このLPトークン自体には価値がありません。
ファーミングのやり方
PancakeSwapのステーキングのやり方
PancakeSwapにはファーミング以外にも仮想通貨を預ける方法があり、「ステーキング」と呼ばれています。
ステーキングはCAKEを預けることで、CAKEやその他の仮想通貨を報酬として受け取れる方法です。
今回はCAKEを預けてCAKEを得る方法を紹介します。
ステーキングのやり方
pancakeSwapの将来性
パンケーキスワップは、まだまだ安定した人気が保ち続けることが予想されます。
手数料が安いので少額取引に向いていますし、DeFi初心者が参入しやすいことは大きな強みです。
とはいえ仮想通貨は日進月歩の世界ですから、すぐに新たな技術が開発されていくはずです。
BSCチェーンと同じように高速度かつ低コストのSolanaブロックチェーンが既に台頭してきており、パンケーキスワップを脅かすDEXがいつ登場してもおかしくないと言えるでしょう。
まとめ
今回はパンケーキスワップの始め方や使い方などについて解説してきました。
少し難しい作業もありますが、本記事に書いてある通りに実行していけば失敗することなくファーミングまで辿り着けるはずです。
一度覚えてしまえば他のDEXでもすることは似通っています。
ぜひパンケーキスワップの農場(Farm)で流動性を提供し、芳醇なCAKEを収穫して資産を増やしてください。