ステーブルコインの利点が、意図せず犯罪行為に加担してしまっている
国連薬物犯罪事務所(UNODC)は15日、世界最大のステーブルコインであるUSDT(テザー)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)が東アジア・東南アジアにおける地下銀行およびマネーロンダリングの重要な一部として台頭し、同地域における国際組織犯罪をあおっているとする報告書を公開した。
関連:テザー、現金および現金等価物の準備金比率が過去最高と発表
地下銀行業務とマネーロンダリングにおけるカジノ、ジャンケット、暗号通貨の関係を探ります。
報告書によると、東アジア・東南アジアを基盤とするオンラインカジノや関連ビジネスが、主要な組織犯罪グループによって何十億ドルもの犯罪収益を資金洗浄(マネーロンダリング)に使われていることがわかった。
なかでもTRONブロックチェーン上のUSDT(テザー)は、その安定性、取引の容易性、匿名性、低い取引手数料によりマネーロンダラーにとって好ましい選択肢となっていると指摘し、これは、同地域のUSDTベースの違法なオンラインギャンブルや仮想通貨取引所の急増によって実証されているとした。

(筆者により機械翻訳した)
出典:報告書
UNODCの報告書に対しテザー社は次のように声明を発表した。
「我々は、USDTの違法行為への関与を強調する一方で、新興市場の発展途上経済を支援するUSDTの役割を無視する国連の評価に失望しています。」
「・・・Tetherトークンの監視は、何十年もの間、多額の資金洗浄のための器であった伝統的な銀行システムを凌ぐ、比類のない監視を保証します。パブリック・ブロックチェーンを使用するテザートークンは、すべてのトランザクションを綿密に追跡することが可能であり、違法行為には非現実的な選択肢である。」
発行元のテザー社の言い分がどうであれ、実際のところUSDTは犯罪行為に使われてしまっている。ブロックチェーンでデータ分析企業のBitraceの調査によると、2022年9月から2023年9月にかけて、約170億USDT(約2.5兆円)がアンダーグラウンドな通貨交換所、違法な商品取引、違法な債権回収・支払いをはじめとする犯罪行為に使われた。
また、ブロックチェーン分析企業の「TRM Labs」の調査によれば、国際的なテロリストグループ「ISIS」および関連するグループが、資金調達などの経済活動にステーブルコイン「テザー(USDT/Tether)」を利用していることがわかっている。