米金融大手モルガン・スタンレーの運用子会社モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントは8日、ビットコイン現物ETF「Morgan Stanley Bitcoin Trust(ティッカー:MSBT)」の取引をNYSE Arcaで開始した。米大手銀行が自ら発行体となるビットコイン現物ETFは初めてとなる。初日の取引量は160万株を超え、約3,400万ドルの資金が流入した。
手数料0.14%で最安、「コミットメントを示したかった」
MSBTの年間管理手数料は0.14%に設定された。現在市場シェア首位のブラックロック「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」の0.25%を11ベーシスポイント下回り、米国の現物ビットコインETFで最安水準となる。ETF部門グローバルヘッドのアリソン・ウォレス氏はブルームバーグに対し「手数料を低く設定することでコミットメントを示したかった」と語った。
ファンドはビットコイン
BTCの現物を直接保有し、CoinDesk Bitcoin Benchmark(ニューヨーク時間午後4時決済レート)を追跡する。レバレッジやデリバティブは使用しない。カストディはコインベースがコールドストレージを、BNYメロンが現金管理・名義書換を担当する。
BTC高値から40%下落──逆風下での「逆張り」ローンチ
注目すべきは、MSBTが厳しい市場環境のただ中でローンチされた点だ。ビットコインは10月の高値から40%超下落しており、ブルームバーグのデータによると現物BTC ETF全体で過去3ヶ月に約7億ドルの資金が流出している。
それでもモルガン・スタンレーがローンチに踏み切った背景には、長期的な需要への確信がある。ウォレス氏は「特に富裕層からの需要は非常に高い。会社全体として見れば、この資産クラスは消えない」と述べた。立ち上げにはリスク、コンプライアンス、法務、マーケティング、金融犯罪対策の各部門から約200人が関与したという。
同行のウェルス・マネジメント部門は約1万6,000人のファイナンシャルアドバイザーを擁し、2024年11月から顧客に対しビットコインへの最大4%配分を推奨してきた。ブルームバーグ・インテリジェンスのエリック・バルチュナス氏は「積極的な手数料設定はアドバイザーからの強い需要を反映している」と分析する。
リテール層への展開も視野に入る。YouGovの調査では、若年投資家が退職口座を持つ確率に比べ暗号資産商品に投資する確率は4倍に上る。ウォレス氏はセルフディレクテッド投資家を対象にした初のキャンペーンを計画していると明かした。
一方、IBITは約850億ドル超の運用資産と圧倒的な流動性を持ち、市場全体の約60%を占める。MSBTが手数料とアドバイザー網で攻勢をかける構図だが、流動性面での差は依然大きい。
ETH・SOL ETFも年内視野、デジタル資産事業を本格化
MSBTは暗号資産戦略の第一歩に過ぎない。同行は1月にイーサリアム
ETHとソラナ
SOLの現物ETFもSECに申請済みで、ウォレス氏は年内のローンチを視野に入れていると述べた。2月にはデジタル資産のカストディ・ステーキングを手がけるナショナルトラスト銀行の認可をOCCに申請している。
2026年前半にはイー・トレードを通じたリテール向け暗号資産取引の開始も予定しており、ETF・カストディ・取引の三本柱でデジタル資産事業を構築する方針だ。下落市場でのローンチそのものが、モルガン・スタンレーがこの市場を一時的なブームではなく恒久的な資産クラスと捉えていることを示している。




