アニモカブランズとの連携により7億人ユーザー基盤を初日から確保
暗号資産(仮想通貨)分野に特化したベンチャーキャピタル「Animoca Brands(アニモカ・ブランズ)」が支援するWeb3プロジェクト「Moca Network(モカ・ネットワーク)」は25日、新たなレイヤー1ブロックチェーン「Moca Chain(モカ・チェーン)」を発表した。Moca Chainは、自己主権型アイデンティティ(SSI)と個人データの利活用に特化したEVM互換のモジュラー型ブロックチェーンとして開発が進められている。
本チェーンは「データを個人の資産に変える」というビジョンのもと、アイデンティティとデータの発行・保管・検証・活用を一貫して行えるインフラを提供。テストネットは2025年第3四半期、メインネットは同年第4四半期のローンチを予定しており、ユーティリティトークン「$MOCA」の本格運用もこのタイミングで開始される見通しだ。
モカ・チェーンの特徴の一つは、ゼロ知識証明(ZKP)と自己主権型IDの活用により、ユーザーが個人情報を開示せずに「必要な事実だけを証明できる」点にある。例えば、「21歳以上である」ことのみを提示し、年齢そのものを明かすことなく酒類の購入が可能になるといったユースケースが挙げられる。
さらに、モカ・チェーンで発行された資格情報(クレデンシャル)は、教育、ゲーム、スポーツ、金融など多様な分野で再活用可能。学位や職歴の証明、ゲーム内実績の共有、ファン活動履歴による特典提供など、幅広い応用が期待されている。
また、モカ・チェーンのエコシステムは、アニモカ・ブランズが関与する540社超の企業ネットワークおよび7億人以上のユーザーに初日からアクセス可能とされており、「SK Planet」や「OneFootball」といった既存プラットフォームとの連携も進んでいる。
もう一つの注目ポイントは、単なる汎用型L1ではなく、「Identity Oracle(アイデンティティ・オラクル)」によるクロスチェーン対応機能を備えている点。これにより、異なるブロックチェーン間での資格情報の検証が可能となり、データの分断という課題の解消に貢献するとしている。
モカ・チェーンは、AIR Kitと呼ばれるIDモジュールの導入パッケージを起点に、誰でも簡単に分散型IDを統合できる環境を提供。ZKベースの検証やzkTLSによる信頼性向上、プライバシー保護を実現しながら、データの再利用性や収益化も見据えた設計となっている。
今後、医療、教育、金融、リワードプログラムなど多分野での展開が想定されており、Web3時代における「デジタルIDの中核基盤」としてのポジション確立を目指している。
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