Jito財団、JTOトークノミクスを提案──DAO主導の成長戦略

木本 隆義
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「リアルイールド・ゲージ」や「バイバック&バーター」など新機軸も

Solana(ソラナ)ネットワーク向けのインフラを開発する「Jito(ジト)財団」は7日、ソラナ経済圏のサステナブルな発展を目指し、JTOトークンの経済設計を提案した。

Jitoが提案するJTOトークン・エコノミクスは、「とにかくトークンを出せばよい」という単純なものではない。ソラナの基盤的インフラにまで成長したプロトコルに裏打ちされた、いわゆるファンダメンタルが存在する。MEV対応クライアントやリキッドステーキングなど、ソラナの主要課題を的確に捉えている点が大きな強みである。

JTOの配分は、投資家とコミュニティの双方に明快な枠が設けられている。なかでも、コミュニティ成長枠の規模が大きく、レトロアクティブエアドロップによる初期ユーザー還元や、DAO主導のインセンティブを支えるしくみが特徴的である。投資家のリターン確保とのバランスを保ちながら、コミュニティへ投資権限を与える意図が鮮明に示されている。

Jitoは現在、ソラナのバリデータの94%が使用するMEV最適化クライアントを提供し、ソラナ全体のトランザクション手数料の大部分を処理している。いわゆる「流動性マイニング頼みのプロジェクト」とは一線を画す。収益を再投資するフローにガバナンストークンを組み合わせ、「リアルイールド・ゲージ」や「バイバック&バーター」など新機軸の試みを盛り込んでいる。こうした枠組みにより、DAO同士の連携資金のハブとして発展する可能性がある。

JTOは2024年から段階的にトークンのアンロックが進み、市場供給が大幅に増加している。市場供給の増加に伴い価格の変動リスクが指摘されていたが、DAOによる買い戻しやバーター取引などの戦略が機能し、一定の安定が保たれている。最終的に、Jitoのエコシステムに十分な実需があれば、アンロックによる影響を吸収できると考えられ、長期的な視点では投機的な勢力が淘汰される可能性がある。

ソラナの高速トランザクションに加え、Jitoが提供するMEV最適化は技術面での優位性をもつ。JitoSOLのステーキングはすでにSolana LST市場の40%以上のシェアを占め、2024年のTVLは125%成長を記録している。MEV報酬の拡充やトークン回収メカニズムが機能すれば、JTOの価値向上と時価総額の拡大も視野に入る。野心的な構想ではあるが、コミュニティとプロトコルが連携する中で、着実に実現性を高めている点が興味深い。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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