仮想通貨投資について詳しく調べていくと「HYIP(ハイプ)案件」という単語を目にする機会があるのではないでしょうか。
みたいな謳い文句が並んでいる投資プロジェクトはハイプ案件である可能性を考慮しなければなりません。
とはいえ
- そもそもHYIP(ハイプ)案件ってなに?
- 実際にあったハイプ案件ってどんなものがある?
- もしハイプ案件に引っかかったらお金は戻ってくるの?
- ハイプ案件に騙されたんだけど泣き寝入りしたくない!
という方もいるのではないでしょうか。
HYIP(ハイプ)と呼ばれる案件のほとんどは詐欺であり、騙されないためにもきちんとした情報を仕入れておく必要があります。そんなうまい話あるわけないだろ・・と思っていても、儲け話にはつい興味を持ってしまうのが人間の性ですからね。
そこで今回はハイプ案件についての詳しい解説や詐欺案件の見極め方、騙されてしまった場合の対処法について解説していきます。
本記事を読んで、詐欺に引っかからないよう仮想通貨投資を行っていきましょう。
動画でHYIPについて知りたい方はこちら⬇︎
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目次
そもそもHYIP(ハイプ)って?
HYIP(ハイプ)とは、「High Yield Investvent Program」の頭文字をとった略称で、日本語では「高利回り投資案件」と呼ばれています。
ハイプはもともと先物取引や不動産関連の投資などで使われていた言葉です。ですが最近では、仮想通貨投資の案件でよく使われています。
基本的なハイプの特徴は次のとおりです。
- あり得ないほど高い利回り
- 誰かをプロジェクトに紹介することで報酬を得られる仕組みがある
ハイプ案件の個別の事例を見ていくと、運用によって得た利益はほとんどなく、新規会員となった人が支払った出資金を配当として、次の紹介者に回していく自転車操業の仕組みが多数を占めています。
日本だけでなく、全世界でハイプ案件による被害者の数は増加の一途をたどっています。騙されないためにも、ハイプ案件に関する情報をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
HYIP(ハイプ)の仕組み
ではハイプはどんな仕組みで成り立っているのか解説します。
ハイプには主に3つの特徴があります。
- ポンジスキーム
- ネットワークビジネス(MLM)
- ねずみ講
どの特徴も、かなり怪しいと感じますよね。その直感はかなり正しいです。具体的に説明していきます。
必ずしもハイプ案件の全てが違法というわけではありません。ただし、限りなくグレーに近い案件が多いですし、被害者も増え続けています。
ポンジスキームである
ポンジスキームとは、魅力的なリターンを提示することで出資を募り、その出資金を新たに出資してきた人に配当として支払うことで、あたかも資産運用がうまくいっているかのように見せかける詐欺行為のことです。
- 「利回り50%!」のような魅力的なリターンを提示して出資金を集める
- だが実際は運用はしていない
- 新たに出資してきた人の出資金を、前に出資した人に配当として支払う
- ③の繰り返し
- 資金がショートしてきたところで運営は姿をくらます
まるでバケツリレーのように、配当を出資者に回していくので最初のうちは利益が出たと勘違いしてしまいます。
ですがいずれ資金がショートしますし、さっさと運営は雲隠れしてしまいます。当然ながら一番最後に出資した人は配当は1円ももらえません。
ネットワークビジネス(MLM)
ネットワークビジネスとは正式名称をマルチ・レベル・マーケティング(MLM)といい、いわゆるマルチ商法のことを指します。
一般的にマルチ商法は、とある商品の販売を請け負って、売上に応じて報酬をもらったり新たに会員を勧誘することによってインセンティブを受け取るビジネスモデルのことです。
アムウェイが有名ですね。勧誘した人がさらに別の人を勧誘するとさらに紹介料がもらえます。
東京に多くの店舗を持つ喫茶店「ルノアール」に行くと、いろんなテーブルで怪しい儲け話が繰り広げられるのを耳にしたことがあります。
最近ではあまりにマルチ商法関連の商談が多く「ネットワークビジネス関係者立入禁止」の張り紙を出されているほど・・・。
ネットワークビジネスを使ったハイプ案件で有名なのは2017年の「クローバーコイン」です。
会員登録し、別の誰かにコインを買ってもらうと運営から配当としてクローバーコインが付与されるというネットワークビジネスの仕組みを使っています。近く上場されるコインだと銘打って中高年向けに大々的なセミナーを実施して集客していましたが、消費者庁などから強制捜査を受け退会者が続出しました。結局上場はできず、クローバーコイン購入口座も凍結され、運営は返金手続きを余儀なくされるという顛末に至りました。
ねずみ講
ねずみ講とは、新規に会員を募集し組織に勧誘することで手数料を稼ぐビジネスです。
ネットワークビジネスとよく似ていますが、最大の違いは商品を販売するのではなく、単純に新規会員を募集することで収入を増やしていきます。
連鎖販売取引と呼ばれるネットワークビジネスに対して、ねずみ講は無限連鎖講と呼ばれています。
具体的な商品の販売がないのでいずれ破綻することが明らかなビジネスモデルであり、こちらは法律的に違法とされています。
有名な仮想通貨のHYIP(ハイプ)案件の事例
実際にあったハイプ案件の事例について紹介していきましょう。
今回取り上げる事例は次の4つです。
- BitConnect(ビットコネクト)
- BitClub Network(ビットクラブネットワーク)
- PLUS TOKEN(プラストークン)
- Jubilee Ace(ジュビリーエース)
BitConnect(ビットコネクト)
BitConnect(ビットコネクト)は2016年ICOを果たし、独自通貨であるBCC(ビットコネクトコイン)を使った高配当の投資プロジェクトです。BCCと聞くと、ビットコインキャッシュと間違えてしまいそうですが、ビットコネクトコインです。
Bitconnectの特徴は、仮想通貨を預けることで高い利息をもらえるレンディング機能です。
1日の利息が1%、月平均の利息が30%と、ありえないほどの高利率を受け取れる仕組みになっています。他のユーザーに紹介すると紹介料がもらえるといったネットワークビジネス的な側面も持ち合わせていて、BCCの時価総額は一時仮想通貨ランキングの上位にランクインするほどでした。
しかし勢いは長く続かず、運営は早々とレンディング機能を中止し、BCCは一夜にして90%の大暴落を記録してしまいます。
Bitconnectに関わったとされる人物は次々と逮捕され、イーサリアム創始者のヴィタリック・ブテリンを始め、多くの有識者から批判を浴びました。今ではBitconnectはポンジスキームだったと結論付けられています。
仮想通貨業界に最も影響を与えたハイプ案件の1つとして、今後も語り継がれていく事件だと言えるでしょう。
BitClub Network(ビットクラブ ネットワーク)
BitClub Networkは、マイニング設備に投資してリターンを得られると謳い、世界中から約800億円をだまし取ったハイプ案件です。
こちらもネットワークビジネスのような紹介制度が用意されていて、自分が紹介した人がBitClubに加入し、マイニングプールを購入するとボーナスが発生する仕組みとなっています。
マイニング自体での報酬では稼げず、ネットワークビジネス的な紹介制度でしか稼ぐことができないことが明らかになり、詐欺容疑で4人が逮捕されています。
日本人の出資者も多く、日本での仮想通貨のイメージを著しく下げる結果となってしまった悪質な事件でした。
PLUS TOKEN(プラストークン)
PLUS TOKEN(プラストークン)とは仮想通貨を預けることができるウォレットアプリのことで、預けるだけで日利0.3%・月利10%という高利回りで資産を増やせるという触れ込みで参加者を募ったハイプ案件です。
取引所間の仮想通貨の価格差を利用したアービトラージという手法を自動的に行い、利益を得られるという仕組みで設けがでると説明し、出資者を増やしていきました。
しかし、多くのユーザーからウォレットから資金が引き出せないとクレームが殺到し、悪質なねずみ講であるとの認定を受け、中国当局より運営者が逮捕されるという顛末に至っています。中国当局が押収した仮想通貨の総額は約4300億円とも言われていて、史上最大の仮想通貨詐欺とも言われています。返金の目処も立っておらず、未だにプラストークンのホームページも稼働していることから、今後も怪しい動きを見せていきそうです。
Jubilee Ace(ジュビリーエース)
ジュビリーエース(Jubilee Ace)とは、プラストークンと同じくアービトラージの仕組みを使って儲けを出すシステムです。専用サイトから仮想通貨を購入し、残高に応じて配当が支払われる仕組みとなっていました。
「マルチ商法のカリスマ」とも言われている玉井暁氏が中心となってセミナーなどで出資者を募り、650億円近くを集めたと言われています。
しかし、2020年11月頃より出資者が資金を引き出せなくなることが相次ぎ、ポンジスキームだったことが発覚。結局2021年11月10日、無登録で出資者を募ったとして、玉井氏を始め7人が警視庁に逮捕されてしまいました。
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仮想通貨のHYIP(ハイプ)案件に騙されてしまう理由
それではなぜ人は、明らかに怪しいと思われるハイプ案件に騙されてしまうのでしょうか。
理由は次の2つが考えられます。
- ハイプ案件は実際に稼げる仮想通貨投資案件との見分けがつきにくい
- 有名人やプロの詐欺師が宣伝することで本当に儲かると信じてしまう
HYIP(ハイプ)案件は実際に稼げる仮想通貨投資案件との見分けがつきにくい
仮想通貨投資は専門用語が多く、深く理解するにはかなりの知識が必要です。
なので、ハイプ案件を運営する側は知識の浅い出資者に対し、情報の非対称性(売り手と買い手の知識の格差があること)を使い、あたかも儲かる案件のように信じ込ませることが容易となります。仮想通貨という仕組みも、ハイプ案件を生み出しやすい構造です。
銀行のような中央集権的な金融機関を介さずに取引でき、高利回りを利用して実際に億り人になった人もいるのは事実ですし、自分も稼げるんじゃないかと信じてしまうのは不思議ではありませんよね。
DeFiの中でも信頼性の高いPancakeSwapで、APR(年間の単利での利回り)が約45%(CAKE-BNB)だったりしますから、仮想通貨投資とハイプ案件を混同してしまう人も出てくるでしょう。
実際に稼げる仮想通貨投資とハイプ案件を見極めることができないことがハイプ案件に騙されてしまう理由の1つです。
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有名人やプロの詐欺師が宣伝することで本当に儲かると信じてしまう
ハイプ案件界隈は、プロの詐欺師達が跋扈する魑魅魍魎の世界です。マルチ商法などで過去に悪事を働いてきた人たちが、独自のノウハウを駆使してあらゆる手をつくして投資家たちを欺いてきます。有名人による宣伝も騙されてしまう原因です。
ロックシンガーのGACKTさんが広告塔として宣伝していた仮想通貨プロジェクト「SPINDLE(スピンドル)」という案件をご存じの方も多いのではないでしょうか。スピンドルはガクトコインとも呼ばれ上場前に出資金約220億円を集め、上場後に価格が大暴落し投資家たちが大損害を受けた事件です。
結局スピンドルの発起人である宇田修一氏は金融庁から行政処分を受けています。
スピンドルはハイプ案件というよりICO詐欺とも言うべきものですが、ハイプ案件もその道の有名人やインフルエンサーたちが集客を担って多くの投資家たちを騙そうとしてきます。
初心者の人ではとても太刀打ちできないほど、詐欺の手口が巧妙化しているのは事実ですね。
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仮想通貨のHYIP(ハイプ)案件に引っかかったら返金してもらえる?
不幸にもハイプ案件に引っかかってしまったら、お金は戻ってくるのか?と不安に思う方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、「戻ってこない」と思っておいたほうがいいです。
詐欺がバレる頃には運営者は雲隠れしているか逮捕されるかしているので、結局どこに返金を求めていいかわからないことが多いのです。仮に自分がハイプ案件を誰かに紹介してしまっていたりすると、被害者ではなく加害者側に回ってしまう恐れもあります。
後に大事になってしまうことを避けるためにも、自分が責任を持てない投資案件には絶対に手を出すべきではありませんね。
仮想通貨のHYIP(ハイプ)案件に手を出してしまった場合の相談機関
ハイプ案件に騙されてしまった、とはいえこのまま泣き寝入りしたくないですよね。できる限りお金が返ってくるための手を尽くしましょう。
すぐにできる次善の策は次の2つです。
- 国民生活センターに相談する
- 投資トラブルに強い弁護士に相談する
国民生活センターに相談する
国民生活センターとは、仮想通貨に関わらずあらゆる消費活動にまつわるトラブルについて受付してくれる日本の公的機関です。
→国民生活センター
すぐに解決するのは難しいでしょうが、自分だけでなく他の人達からも同様の事例が相次いで報告されれば、事件性が高いと判断され捜査機関も動いてくれるかもしれません。
電話番号「188」に電話をかけると、消費者ホットラインにつながり相談をすることができます。
投資トラブルに強い弁護士に相談する
お金はかかりますが、どうしてもお金を取り戻したい場合は仮想通貨関連の投資トラブルに強い弁護士に相談するのも一つの手です。あまりにも被害者が多い場合は、加害者を相手取って集団訴訟などを起こしている例もあります。
自分ひとりの力ではどうにもならないと感じた場合、専門家の知恵を借りることも必要になるでしょう。
まとめ
ハイプ案件は基本的に、一番最後に出資した人が損をするポンジスキームです。手を出してしまったら、ほとんどお金は戻ってこないと覚悟を決めたほうがよいですね。
ネットワークビジネスの仕組みを使っているハイプ案件も多いだけに、自分だけでなく周りの人も巻き込む恐れのある恐ろしい詐欺行為であることを理解しておいてください。
安易に手を出すことは決してせず、投資案件について徹底的に調べ尽くしてから判断することをおすすめします。
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