Web3普及に向けた新たな試み──HashPortの狙いとサービス全容
国内のブロックチェーンインフラ企業「株式会社HashPort(ハッシュポート)」は16日、大阪・関西万博の決済シーンで利用可能なトークン「EXPOトークン」の提供を開始したことを発表した。
このトークンは、万博独自の電子マネーサービス「ミャクぺ!」と連携し、新たなブロックチェーンベースの決済体験を提供することを目的としている。また、リリースを記念して、総額1,000万円分相当のEXPOトークンがエアドロップされるキャンペーンも併せて実施される。
EXPOトークンは、1コイン=1円として決済に利用できる暗号資産(仮想通貨)。ハッシュポートが開発・提供する「EXPO2025 デジタルウォレット」アプリを通じて管理され、トークンの移転は、アプリ内で発行される個人情報に紐づいたSBT(譲渡不可能なNFT)である「SBTデジタルパスポート」を持つユーザーおよび事業者間に限定される。
EXPOトークンは、EXPO2025デジタルウォレットの利用や、万博会場・関連イベントへの来場(二次元コード読み取りや特定のSBT獲得)、各種キャンペーンへの参加を通じて獲得可能。獲得したトークンは「ミャクぺ!」へのチャージ、ユーザー間送金のほか、会場内に設置予定の『EXPO2025デジタルウォレットパーク』での施設利用やコンテンツ体験の支払いにも利用可能になるとのこと。
なお、EXPOトークンのサービスは段階的に提供される。フェーズ1(2025年4月〜)ではトークンの獲得と「ミャクぺ!」へのチャージ、ユーザー間送金などが可能になる。フェーズ2(2025年5月以降)では、主に海外からの来場者を対象に、ステーブルコインとの交換機能の提供が予定されており、交換対象としてAptos Network上のUSDCが検討されている。

サービス開始を記念し、4月16日から6月30日まで「EXPO2025デジタルウォレット」アプリの紹介キャンペーンが実施される。新規登録者と紹介者の双方に50EXPOトークン(50円相当)が付与されるほか、紹介人数に応じて最大5,000EXPOトークンを獲得可能。さらに、20人以上紹介したユーザーの中から抽選で10名に10万EXPOトークンが当たる。
HashPortは、このEXPOトークンとデジタルウォレットを通じて、「安全性と利便性を両立したトークン流通基盤を構築し、大阪・関西万博をWeb3技術のマスアダプション(大衆への普及)の第一歩とすることを目指す」としている。
現時点での設計では、トークンの使用にはSBT認証などの制限があり、仮想通貨というよりもクローズドな電子マネーやポイントサービスに近い性格を持つ。しかし、世界規模のイベントでブロックチェーン技術が一般来場者に実際に触れられる形で導入されることの意義は大きく、今後の展開が注目される。
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