アイルランド警察(An Garda Síochána)は24日、犯罪資産局(CAB)がユーロポールの欧州サイバー犯罪センターの支援を受け、犯罪収益として保有されていた暗号資産(仮想通貨)ウォレットへのアクセスに成功し、500BTC(約3,000万ユーロ/約55億円)を押収したと発表した。アイリッシュ・タイムズ紙およびRTÉが報じた。
7年越しのウォレット解錠、ユーロポールの復号技術が決め手
今回の押収は、CABが2019年に差し押さえた合計6,000BTC(当時の評価額5,300万ユーロ)のうち、12個のウォレットの1つに初めてアクセスできたという点で大きな意味を持つ。アイリッシュ・タイムズ紙のConor Lally記者によると、ユーロポールはオランダ・ハーグの本部で作戦会議を主催し、高度な復号リソースと技術的専門知識をCABの捜査官に提供した。
Garda本部は声明で「CABはユーロポールと協力し、犯罪収益である500ビットコインを含む暗号資産ウォレットへのアクセスを獲得し、押収した」と述べている。押収時のビットコイン価格は1BTC=約6万ユーロだった。
大麻栽培の収益をBTCに投資した経緯
6,000BTCの元所有者はダブリン・クラムリン出身の元養蜂家クリフトン・コリンズ受刑者(55歳)である。賃貸住宅で大麻を栽培・販売し、その収益の一部を2011年から2012年にかけてビットコインに投資していた。当時のBTC価格はわずか数ドル程度だった。
資産価値の膨張に伴い、コリンズ受刑者は12個のウォレットへ分散保管を実施。各ウォレットの秘密鍵を記録した文書をゴールウェイ州の賃貸物件にあった釣り竿ケース内に隠したが、自宅への侵入事件の後に文書は行方不明となった。逮捕後の物件整理で廃棄された可能性もあるという。
コリンズ受刑者は大麻栽培・販売で禁錮5年の判決を受けた。2020年末には鍵コードを保持していた100万ユーロ相当のBTCのほか、2人乗りジャイロ機やキャンピングカー、漁船を含む計120万ユーロの資産を国に引き渡している。
6,000BTCの現在の評価額は約3億6,000万ユーロ(約664億円)に上る。今回のブレークスルーにより、同じ手法で残り11ウォレットも解錠できる可能性が出てきた。CABはアイルランドの犯罪者による暗号資産を利用した資産隠匿が増加傾向にあると指摘しており、今回の成功は法執行機関の暗号資産追跡能力向上を示す事例となった。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ユーロ=184.37円、1ドル=158.98円)




