金融庁は30日、ブロックチェーンを基盤とする「オンチェーン金融」の社会実装に向けて省庁横断で検討する「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」の初会合を開いた。座長は金融担当大臣が務め、有識者8人のほか、金融庁、デジタル庁、財務省、日本銀行、全国銀行協会が参加する。2027年初めに第2回を開き、中間整理と官民によるロードマップをまとめる予定だ。
AIエージェント時代の決済基盤を整備
金融庁は、AIエージェントが自律的に経済活動を行う「エージェンティックコマース」の時代には、言語や時差に関係なく商取引が行われ、決済もそれに対応する必要があるとしている。国内の決済基盤が対応できなければ、海外の決済基盤への依存が強まり、競争力の低下や経済安全保障上のリスクが高まるおそれがあるという。
そのため、24時間365日の連続稼働、商流・物流とつながるプログラマビリティ、決済基盤としての安定性・安全性を備えたオンチェーン金融を推進する。既存の金融インフラとの組み合わせも重視する方針だ。
ステーブルコインやDEXの制度も検討
フォーラムとあわせて、2つの研究会でも論点ごとに検討を進める。それぞれの主な検討項目は以下のとおりだ。
| 会議体 | 主な検討項目 |
|---|---|
| AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム | 官民によるロードマップ作成、決済高度化プロジェクト(PIP)の継続・拡大、新たな決済システムの構築の促進、国際的な連携・発信、日銀当座預金のオンチェーン対応 |
| デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会 | さまざまな資産のトークン化、ステーブルコイン、DEX・DeFiやウォレット提供業者に関する制度のあり方 |
| AI等の健全な利活用の推進に関する研究会 | 金融機関におけるAIの健全な利活用、AIの浸透に応じた市場・金融機関の監督のあり方、量子コンピュータによる危殆化リスクの把握 |
これらの多くは、7月21日の「成長投資を促進するための金融戦略」に盛り込まれていた内容だ。同戦略では、ステーブルコインについて、裏付け資産のあり方をはじめとする制度的な論点を、メリットとデメリットを含めて点検するとしている。DEXを含むDeFiやウォレット提供業者については、技術的な性質に合わせた過不足のない規制を含むリスク低減策のあり方を、各国の動向を見ながら検討する。
関係省庁の取り組みもフォローアップする。日本銀行は日銀当座預金のオンチェーン対応について、年内に実装に向けた論点と道筋の検討状況をまとめる。デジタル庁はステーブルコインやトークン化預金の公金給付への活用を、財務省は国債などのトークン化対応を検討している。
いずれも点検・検討の段階で、今回の資料では具体的な制度変更の内容は示されていない。会合は同日14時から1時間開かれ、関係省庁等の報告と討議が行われた。金融庁が公表したのは配付資料で、討議の内容は現時点で公表されていない。
PIPは4件、3メガの円建てステーブルコインは今年度中に実取引へ
会合の資料では、国内の取り組み状況も示された。2025年11月に始まったPIPでは、これまでに次の4件の実証実験の支援を決めている。
- 第1号(2025年11月7日):3メガバンク等による円建てステーブルコインの共同発行
- 第2号(2026年2月13日):野村證券、大和証券、3メガバンクグループによるオンチェーンでの証券決済
- 第3号(2026年4月3日):DCPとGMOあおぞらネット銀行等によるトークン化預金の銀行間移転。8月時点で43の地方銀行等が参加を表明
- 第4号(2026年9月29日):トレードワルツによる貿易決済の実証。3メガバンクが今後共同発行するステーブルコインと連携
第1号案件のステーブルコインについて、3メガバンクは2026年度中に実取引を始めると6月に公表している。資料によると、国内で流通するステーブルコインはドル建てのUSDC・RLUSDと、円建てのJPYC・JPYSCだ。世界のステーブルコイン市場は約3,100億ドル(約48兆円)で、時価総額の約83%をUSDCとUSDTが占める。
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JPYC
※円換算は金融庁資料による



