大手金融機関「Standard Chartered(スタンダードチャータード銀行)」は13日、イーサリアム(ETH)の価格目標を大幅に引き上げるレポートを発表した。2025年末の目標価格を従来の4,000ドルから7,500ドルに、2028年末の目標を7,500ドルから25,000ドルへと、それぞれ引き上げた。
2028年末には2万5,000ドル予測、機関投資家需要が追い風
同行のデジタル資産リサーチ責任者であるジェフリー・ケンドリック氏は、この強気な見通しの背景として、「企業財務(トレジャリー)や現物ETFによる積極的な買い、米国の新たなステーブルコイン規制、そして技術的なロードマップの勢い」などを挙げ、イーサリアムを取り巻く環境が「劇的に改善した」と分析している。
レポートによると、イーサリアムのトレジャリー戦略を掲げる企業や現物ETFは、6月上旬からの約2ヶ月半で、イーサリアムの全流通供給量の約3.8%を購入したという。これは、ビットコインで同様の買い手が見せた最速ペースの「ほぼ2倍」にあたる。レポートは、このうち約1.9%(230万ETH)を企業財務が、残りをETFが購入したと試算している。
さらに、同行はイーサリアムがビットコインをアウトパフォームし続けると見ており、ETH/BTCレシオは現在の0.039から0.05まで上昇すると予測している。
規制整備と技術進化が価格を押し上げ
同レポートでは、7月にトランプ大統領が署名したステーブルコインの連邦規制の枠組みを定める「GENIUS法(ジーニアス法)」も、イーサリアムにとって追い風になると指摘。すでにブロックチェーン手数料の約40%を占めるステーブルコインの市場規模が、2028年末までに2兆ドルに達する可能性があると予測したうえで、これはイーサリアムに直接的な手数料収入と、間接的なDeFiでの活動拡大をもたらすとしている。
技術面では、イーサリアム財団とエコシステムの貢献者が、ベースレイヤーのスループット拡大計画を含む開発を強化している点に言及。高価値の取引はレイヤー1で処理し、高スループットの取引はBase(ベース)やArbitrum(アービトラム)といったレイヤー2に移行させる設計をサポートすることで、イーサリアムが「現実世界の金融活動でより大きなシェアを獲得する」とした。
スタンダードチャータードは、これらの要因を総合的に評価し、イーサリアムが第3四半期末までに過去最高値である4,866ドル(約71.3万円)を超えると予測。さらに、2026年後半には12,000ドル(約175万円)、2027年には18,000ドル(約263万円)に達するという長期的な価格ロードマップも示している。
イーサリアム価格は、本稿執筆時点で4,722ドル(約69.2万円)をつけている。まずは2021年に記録した過去最高値の4,866ドル(約71.3万円)を突破できるか注目しよう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.57円)