欧州中央銀行(ECB)は26日、分散型金融(DeFi)のガバナンスの実態に関するワーキングペーパーを公開した。主要な4つのプロトコルを分析し、ガバナンストークンの保有と投票権が少数の参加者に集中している状況を明らかにしている。なお本論文はECBの公式見解ではなく、著者個人の研究成果である。
AaveやUniswapなど主要4プロトコルを調査
調査対象はイーサリアム上のアーベ、メイカーダオ、アンプルフォース、ユニスワップの4つ。データ収集期間は2022年11月と2023年5月の2時点で、各プロトコルのトークン保有者や議案への上位投票者の分布と行動を分析した。
その結果、4プロトコルすべてにおいて上位100の保有アドレスがトークン全体の80%以上を占有していることが判明した。少数の参加者が意思決定に多大な影響力を行使できる構造にある。
大口保有者の内訳を見ると、トークンの約半数がプロトコル自身(開発者やトレジャリーを含む)、または中央集権型・分散型の取引所に保有されていた。中央集権型取引所の中ではバイナンスが最大の保有割合を占める。
実際の投票行動を分析すると、議案への上位投票者の多くは他の保有者から投票権を委任された「代理人(デリゲート)」であった。参加率が低い中で代理人が投票権を集約し、権力集中が加速している実態が浮き彫りとなっている。
さらに問題となるのは匿名性だ。上位投票者の約3分の1が公開情報からは身元を特定できない状態にあった。身元を特定できた投票者の中では個人が最も多く、次いでWeb3企業、大学のブロックチェーン研究会、ベンチャーキャピタルなどが続いた。
論文は、DAOが本質的に非中央集権であるという認識に疑問を投げかけ、公開データだけでは誰が責任を負い説明義務を果たすのかが不明確であると指摘した。ガバナンストークン保有者、開発者、中央集権型取引所といった規制上の着眼点が有効かどうかは個別のプロトコルに依存し、現時点で公開されていない追加情報が必要になる可能性があると結論づけている。
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