Dolomiteが描く「じゃんけん型」三すくみトークンエコノミクス
分散型金融(DeFi)プラットフォーム「Dolomite(ドロマイト)」は6日、新トークン「DOLO(ドロ)」の発行とコミュニティエアドロップの実施を発表した。
同プログラムはガバナンス参加を促し、ユーザーのロイヤルティを向上させる戦略とみられる。
20%のトークン配布に込められた狙い
ドロマイトは、DOLOトークンの総供給量の20%をコミュニティエアドロップで配布する。ユーザーには9%、Minerals(ミネラルズ)ホルダーには10%、コミュニティ貢献者には1%が割り当てられるという構成だ。
一見、無料で配布する「撒き餌」のようにも映るが、プロジェクト側の狙いは単なるばらまきではない。エアドロップによってユーザーの継続利用やガバナンス参加を促し、ひいてはトークンの価値向上を目指している。
短期的には価格変動の要因となるエアドロップだが、長期的にはユーザーのロイヤルティやプロトコルへのコミットを高める可能性が高い。無料配布のインパクトは大きいが、「もらったからには長期的に参加してほしい」という下心があるわけだ。
トライアングル型トークン設計
ドロマイトが採用しているトークン設計が興味深い。
基本となるのは交換や移転を主目的とする「DOLO」トークンである。これに加え、ガバナンスや報酬を得るためにDOLOをロックして取得する「veDOLO(ヴェドロ)」、さらに流動性提供の報酬として付与され、DOLOとの1:1ペアリング後にveDOLOを割引購入できる「oDOLO(オドロ)」が存在する。
この3種類のトークンが相互に補完し合い、「じゃんけん」のような循環構造を形成する。最終的には「短期的な売り抜け」を抑えつつ、「長期保有」と「コミット」を促進するインセンティブ設計がなされている。
新チェーン参入の先行者メリット
DOLOトークンのトークン生成イベント(TGE)は、Berachain(ベラチェーン)という新興ブロックチェーンのローンチ直後に行われる予定である。ベラチェーンは「Proof of Liquidity(PoL)」と呼ばれる仕組みを採用し、現在DeFi界隈でも注目度が高い。
新チェーンへの早期参入は、過去のArbitrum(アービトラム)などと同様に「先行者メリット」が見込まれやすい。ドロマイトは現時点でのコミュニティ参加を呼びかけることで、ユーザーをベラチェーンへ誘導し、新たな流動性と利用者を集めようとしている。
資金調達とコミュニティ優遇策
ドロマイトは、Minerals Program(ミネラルズプログラム)参加者に、1トークンあたり0.045ドル相当の価格でDOLOトークンを購入できるオプションを付与する。これは、プロジェクト側にとってはコミュニティのアーリーバードを優遇しつつ、追加の資金調達も狙える一石二鳥の施策だ。
既存の投資ラウンドよりも低いバリュエーションで購入できる点は魅力的だが、最終的な判断はドロマイトの成長性を投資家がどう評価するかにかかっている。将来のトークン価値やプロトコルの成功を信じるかどうかは、まさに投資家の「目利き」に委ねられている。
成功の鍵を握るコミュニティとリスク管理
ドロマイトの新トークンエコノミクスは、トークン分散とコミュニティの関与を軸に、長期的成長を目指す野心的なアプローチである。エアドロップやミネラルズ向けオプションによって一時的な盛り上がりが生まれる可能性は高いが、ベラチェーンやドロマイト自体の実需拡大が伴わなければ、単なる短期的イベントに留まるリスクもある。
トークンエコノミクスと新興チェーンの融合は、DeFi分野ではしばしば高い期待を集めるが、その分だけ注意深い検証とリスク管理が求められる。結局のところ、プロトコルの理念や機能を十分に理解し、冷静な投資判断を行うことが最良の戦略だろう。
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