ZK証明マーケット展開のブレビス、ユーティリティトークン「BREV」の設計を公開

伊藤 将史
11 Min Read
画像はBREVIS公式サイトより引用
Highlights
  • ブレビスがProverNet向けユーティリティトークンBREVの設計と用途を公開
  • BREVを決済・ステーキング・ガバナンスに使用する方針を明示
  • ZK証明の計算能力をオークション形式で取引する市場構造

ゼロ知識証明(ZK)を活用したデータコンピューティング・インフラを提供するBrevis(ブレビス)は24日、同プロジェクトが提供する「ProverNet(プロバーネット)」の核となるユーティリティトークン「BREV」のトークン設計とユーティリティを公開した。

BREVは決済・ステーキング・ガバナンスに使用

ブレビスが提供する「プロバーネット」は、ゼロ知識証明を生成する能力を自由に売り買いできるマーケットプレイスである。

イーサリアムなどの一般的なブロックチェーン上で、アプリが「過去の膨大な取引データを参照する」といった負荷の高い処理を、中央集権的なサーバーを介さず安全に実行するには、その計算が正しいことを保証する「ZK証明」という技術が必要になる。しかし、この計算には高性能なハードウェアが必要で、開発者は「高価な自社インフラを構築する」か「特定の企業が運営する中央集権的なサービスに頼る」という選択を迫られることになる。

プロバーネットは、証明を必要とするアプリ(需要側)と、計算リソースを持つ証明者(供給側)をオークション形式で直接結びつけることで、この問題を解決する。世界中のハードウェアをひとつの市場に集約することで、特定の企業に依存せず、競争を通じて効率的な価格で証明を調達できるインフラを目指しているのだ。

BREVトークンは、このプロバーネットにおいて、決済、ステーキング、ガバナンスの3つの主要な役割を担う。

  1. 決済手段:プロバーネット内で行われるすべての手数料はBREVで支払われる。これには、zkVM(ゼロ知識仮想マシン)の実行、ZKデータコプロセッサへのクエリ、再帰的集約に伴う証明の生成、検証、決済のすべてが含まれる。
  2. ステーキングとインセンティブの調整:証明者(Prover)は、仕事を得るための資格としてBREVをステーキングする必要がある。これにより、シビル攻撃の防止や、サービスレベル合意に違反した場合のスラッシング(トークン没収)を通じた経済的な規律が保たれる。また、トークン保有者はインフラを運営しなくても、プロの証明者にBREVを委任することで、報酬の一部を受け取ることができる。
  3. ガバナンス:BREV保有者は、許容される最大証明サイズ、最小暗号セキュリティレベル、スラッシングの割合(初期値は1%)、オークション市場の手数料(初期値は3%)など、ネットワークの重要なパラメータの決定に参加できる。

なお、今回の発表時点では、トークンのアロケーション(配分)や具体的な入手方法・販売方法は明かされていないため、続報を待とう。

ホワイトペーパーによると、ブレビスの技術は、すでにユニスワップやメタマスクなどの主要なプロトコルで採用されており、これまでに11万人のユーザーに対して計1億3,000万件以上の証明を提供してきた実績があるとのこと。今後明かされるであろうトークンの発行計画にも、多くの注目が集まりそうだ。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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