市場操作の疑いを受け、Bitgetがロールバックと補償を実施
暗号資産(仮想通貨)取引所「Bitget(ビットゲット)」が20日、VOXELUSDT無期限先物取引において異常な取引活動を検知したと発表した。問題が発生したのは、同日17時から17時30分(日本時間)の間となっており、この時間帯に特異な出来高の急増と価格の不自然な変動が観測されている。
ビットゲットの調査の結果、特定アカウントが意図的に市場価格を操作しようとした疑いがあることが判明した。これらに関連したアカウントに対しては、取引および入出金機能を一時停止する措置を講じている。なお、該当取引を行っていない一般ユーザーには影響が波及しておらず、すべての資産が安全に管理されているとのことだ。
SNS上で注目を集める仮想通貨インフルエンサーも、異常取引の実態とその影響について言及している。20日、Dylan氏は公式Xで「0.125 USDTから0.138 USDTという狭い価格帯で、自動的に注文が約定していた」と指摘。この仕組みを利用して一部ユーザーが少額での売買を繰り返し、短期間で数十万USDTもの利益を得たことを共有した。
日本国内でも、VOXELUSDTの異常な値動きを察知し、利益を上げた個人トレーダーが確認されている。Xユーザーのあほむし氏は、「5,000円ほどで買ったポジションが30分で1,600万円になった」と投稿。その後のアカウント凍結に対しては「何一つやましいことはない」「潔白を証明できるなら全裸でも構わない」と述べ、正当性を強く主張している。
同氏はその後も、「指値で慎重に取引していた」「全てを失うリスクを負っていた」と振り返る一方、4月21日11時の時点でも凍結が続いていることを報告し、「全部なかったことにされるのでは」と不安を吐露。異常値動き後に少額の取引を行っただけでも制限対象になったことへの戸惑いも表明しており、今後の対応や救済基準の透明性に注目が集まっている。
ビットゲットは公式サイトにて、公正かつ安全な取引環境の回復を目的とし、今後24時間以内に異常取引のロールバックを行う方針を発表。必要に応じて追加の対策を講じるほか、制限がかけられたアカウントの解除も順次進めていくという。
なお、異常取引発生中にVOXELUSDT契約の取引を行い、損失を被ったユーザーに対して補償プランの提供を予定している。補償を希望する場合は、ビットゲット公式サポートを通じてサポートチケットを提出するよう案内している。
ビットゲット中国担当の謝家印氏は、「技術チームは影響を受けたアカウントのフォローアップを強化している」と強調。すでに一部アカウントではロールバックが始まっており、取引や入出金機能も順次再開されているという。
ビットゲットは今後も透明性のある対応を続けるとともに、ユーザー保護と市場健全化への取り組みを強化していく方針だ。今回の件で揺らいだユーザーの信頼を取り戻すためにも、再発防止策の徹底と強化が求められるだろう。
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