上昇余地を残しながらも、利益確定の動きは加速
オンチェーンデータ分析企業「Glassnode(グラスノード)」は15日、ビットコイン(BTC)が依然として上昇余地を残す一方、市場の過熱に起因する短期的な下落リスクが高まっているとの見解を示した。同日の「Swissblock(スイスブロック)」による「ビットコインはまだ天井を打っていない」との投稿と呼応する形で、同社はオンチェーンデータを基に、現在の市場が過熱的な局面にあることを補足している。
価格は短期保有者コストベースから1標準偏差へ
最初にグラスノードが挙げたのは、「短期保有者コストベース」からのビットコイン価格の乖離だ。短期保有者コストベースは、ビットコインを155日未満保有している投資家による平均購入価格を示す指標となっている。

同社はビットコイン価格が直近の売買で122,000ドルに達したことで、短期保有者コストベースから1標準偏差まで価格が押し上げられたと指摘。次の目標となる2標準偏差は136,000ドル水準であるため、まだ上昇の余地が残されている。しかし、この水準が投資家の利益確定の動きを促し、市場のピークを示す可能性には注意が必要となる。
含み益の急増から利益確定の動きが加速
122,000ドルへの急騰により、短期保有者供給の含み益が100%に達した点にも警戒を促している。過去データからも、より過熱したハイリスク局面への移行を示唆する88%を超えてる現状は、突発的な反転リスクが高いとグラスノードは指摘する。

利益確定加速の可能性を裏付けるように、短期保有者における「利益確定済みの出来高」も急増していると同社は指摘する。出来高を示す値は、過熱の判断ラインである62%を大幅に上回る82%まで上昇。この数字は、市場参加者の多くが現在の価格帯を利益確定の好機と捉えていることを示唆している。

実現利益・損失の比率は39倍という過剰な数字に
利益と損失のバランスを測るための「実現利益・実現損失比率」も、直近で39.8倍に到達しているとグラスノードは指摘。この極端な数字が市場の過熱ゾーンをはるかに超えるものだとしてSNSユーザーへ警戒を促した。

この極端な倍率からも、現状ほとんどの取引が大きな利益確定によって占められていることを意味している。同社によれば、過去のサイクルでもこのような水準は天井到達の手前に現れる傾向があったという。こうした目に見えるデータからも、現在のビットコイン市場は天井圏に接近している可能性が高いと判断できるだろう。
どの価格帯が調整局面時のサポートとして機能するか?
グラスノードが最後に共有した指標が、ビットコインの価格帯別蓄積ゾーンを示す「CBDヒートマップ」だ。これは過去に大量の取引が集中した価格帯を視覚化するもので、サポート・レジスタンスの指標としても活用される。

同社の分析によると、93,000〜97,000ドルおよび101,000〜109,000ドルの価格帯に顕著な蓄積が見られているという。仮にビットコインが価格調整に突入した際、これらのゾーンが強い支持帯として機能する可能性がある。悲観的なシナリオにおける、ひとつの安心材料と言えるだろう。
今回のグラスノードの分析は、ビットコインが中長期的な強気トレンドを維持しながらも、短期的には過熱フェーズ突入による反動を警戒すべき局面にあることを示している。オンチェーンデータからも価格のさらなる上昇余地は残されていると判断できるが、急激な利益確定の波が市場に打撃を与える可能性には警戒が必要になるだろう。
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