「RWAfi」で広がる資産運用の新潮流
米資産運用会社「Apollo Global Management, Inc.(アポロ・グローバル・マネジメント)」は8日、RWA(リアルワールドアセット)特化のブロックチェーン開発を手がける「Plume Network(プルームネットワーク)」への戦略的投資を発表した。投資額は非公開だが、7桁ドル規模と見られており、プルーム側も資金の受け入れを公表している。
現在、RWAのトークン化は、暗号資産(仮想通貨)の次なる本命テーマとして注目されている。具体的には、不動産やクレジット、ファンド持分などの伝統的な資産をブロックチェーン上に載せ、個人投資家でも小口で購入できるようにしようという取り組みである。かつてはDeFi領域で高利回りをうたうあやしげなトークンが乱立していたが、現在は実世界の資産に裏付けされた形で提供されるケースが増えており、機関投資家も参入しやすい。その流れの中で、アポロのような大手資産運用会社が動いたのであろう。
プルームネットワークは「RWA-Fi(リアルワールドアセット・ファイナンス)のためのモジュラーEVMチェーン」として位置づけられる。ようは、あらゆる資産をトークン化し、DeFi上での活用を可能にするための技術基盤を提供しているということだ。そのプルームにアポロが直接出資したことは、“ウォール街”がブロックチェーンを活用した資産流通を本格的に開拓しようとしている宣言ともいえる。この動きによって、他の大手金融機関があわてて「RWA領域への投資を拡充しなければならない」と考える可能性も十分にある。
実際、プルームはすでに太陽光発電権益やプライベートファンドなど、複数の伝統的資産をオンチェーン化しているとされており、今後さらに対象資産が拡大する見通しだ。従来は個人投資家が手を出しにくかった資産クラスも、ブロックチェーンによる小口化によって手が届くようになる可能性が高い。さらに、24時間取引や即時清算といった、従来の金融世界では想像しにくかったしくみも期待される。アポロにとっては、自社ファンドを世界中のリテール投資家に販売する機会が広がる点も大きい。
今後は他の資産運用会社も同様の提携や投資に踏み切り、市場規模がさらに拡大する公算が大だ。一方で、規制やKYC対応などの課題は依然として多いため、大規模資金を運用する企業が主体となってルール整備を進めることが不可欠となる。
本ニュースは、ブロックチェーンを活用した次世代の投資インフラ構築が本格的に加速しているシグナルである。いま、ウォール街の重鎮たちがWeb3の舞台に続々と登場している。どのような変革をもたらすのか見極めたい。