トランプ大統領、バイデン政権下の「DeFiブローカー規則」撤回に署名

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

初の仮想通貨法案で規制緩和へ転換

トランプ米大統領は10日、内国歳入庁(IRS)による、いわゆる「DeFiブローカー規則」を覆す決議に署名した。これはトランプ大統領の現政権において署名された、初の暗号資産(仮想通貨)関連の法案となる。

今回覆された「DeFiブローカー規則」は、バイデン政権下の2024年末に最終化されていたもので、分散型金融(DeFi)分野における、仮想通貨資産取引に関する税務報告義務の拡大を目的とする規則である。IRSはこの規則で、DeFiプロトコルのフロントエンドサービスを展開するウェブサイトらを「ブローカー」と定義し、広範な顧客データの収集や情報開示を義務付けていた。

この規則については、仮想通貨業界を中心に強い反発が巻き起こっていた。分散型取引所(DEX)「Uniswap(ユニスワップ)」の法務責任者であるキャサリン・ミナリック氏は、「これに異議を唱える方法はいくらでもあり、そして絶対に異議を唱えるべきだ」と述べるなど、関係者からも多くの反対の声が上がった。

通常、DeFiプラットフォームはユーザーの資産を直接管理せず、従来の金融機関のような顧客情報の収集・管理体制を持っていない。そのため関係者らは、この規則は証券ブローカーのような従来の金融機関とDeFiプラットフォームの根本的な違いを無視して、非現実的な負担を強いるものであり、さらに利用者のプライバシーを過度に侵害すると非難した。

今回のトランプ大統領による署名は、バイデン政権との仮想通貨規制へのアプローチの違いを鮮明に映し出したものといえるだろう。主に税務コンプライアンスや投資家保護に重点を置いていた前政権に対して、新政権はイノベーション促進を重視する姿勢をとっていることがうかがえる。今後もトランプ政権による規制緩和が続けば、アメリカが仮想通貨業界の中心地になっていく可能性も十分にありそうだ。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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