米ビットコイン投資企業ストラテジー(旧マイクロストラテジー:MSTR)は8日、12月1~7日にかけて10,624 BTCを約9億6,270万ドル(約1,497億円)で追加購入したと発表した。これにより、同社のビットコイン保有総量は660,624 BTCに達し、時価評価額は約9.4兆円にのぼる。
DAT企業の質が問われる中、ストラテジーの戦略は正当化されるか
今回の購入価格は1 BTCあたり約90,615ドルで、これにより同社の平均取得価格は1 BTCあたり約74,696ドルとなった。今回の購入は、普通株および優先株(STRD)のATMプログラム(株式売却枠)による収入を原資としている。
具体的な調達額は以下の通り。
- STRD:約44万株(純調達額約3,490万ドル/約54億円)
- 普通株:約512万株(純調達額約9億2,810万ドル/約1,443億円)
12月7日時点で、総額約6.8兆円相当の発行枠が以下のとおり残っており、今後も同様の手法でビットコインを追加購入する余力がある。
- STRK:約203億ドル(約3.2兆円)
- クラスA普通株式:約134億ドル(約2兆円)
- STRD:約41億ドル(約6,400億円)
- STRC:約40億ドル(約6,300億円)
- STRF:約16億ドル(約2,500億円)
デジタル資産運用会社コインシェアーズのリサーチ責任者であるジェームズ・バターフィル氏は最近のレポートで、ストラテジー社のようなDigital Asset Treasury(DAT)企業という枠組みは本来、企業が自社の財務基盤を法定通貨リスクから守るために暗号資産(仮想通貨)を組み込むという健全な発想から始まったものだと指摘する。
しかし、多くの企業で暗号資産の保有量拡大が自己目的化し、株式発行による資金調達の常態化や過度なトークン依存が進んだことで、当初の財務戦略としての意義がかすんでしまったと分析している。
同氏はさらに、市場環境の冷え込みを受けて、投資家がDATを名乗る企業の質を選別し始めていると述べる。真に財務戦略として暗号資産を活用する企業と、単に上昇相場に便乗して規模を膨らませてきた企業との違いが、縮小するプレミアムの中でより鮮明になりつつあるという。
ストラテジー社の戦略は、ビットコインを実質的な準備資産として位置づける独自モデルだが、調達源が株式発行に偏る点は財務健全性を損なう可能性がある。ビットコイン価格に依存した企業価値はボラティリティの影響を強く受け、財務戦略としての均衡を保てるかが中長期の焦点となる。
関連:ストラテジー創業者「ビットコインを売ることもある」その条件とは?
関連:ビットコインに底値シグナル点灯──ストラテジー保有継続で「市場崩壊起きにくい」
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.5円、1 BTC=14,260,372円)




