PancakeSwap、PancakeSwap Bridgeを発表|クロスチェーン転送をサポート

木本 隆義
13 Min Read

多チェーン時代の胎動

分散型取引所(DEX)「PancakeSwap(パンケーキスワップ)」は、新機能『PancakeSwap Bridge(パンケーキスワップブリッジ)』を発表し、EthereumやBNB Chainなど、8つの異なるブロックチェーン間でのクロスチェーントランスファーを実現した。

8つの対応ブロックチェーン

  • Ethereum
  • BNB Chain
  • Base
  • Linea
  • opBNB
  • Arbitrum One
  • zkSync Era
  • Polygon zkEVM

この機能により、ユーザーは外部サービスを介さず、パンケーキスワップ上で直接3,700種以上のトークンをシームレスに移動することが可能になる。BNB Chainを基盤とし、CelerやLayerZeroなど複数のブリッジ技術を活用することで、高速かつ安全な送金を実現している。

これまで、異なるブロックチェーン間で資金を移動する際には、外部ブリッジサービスの煩雑なUIや遅延が利用障壁となっていた。しかし、パンケーキスワップが独自にブリッジ機能を内蔵したことで一元的にこれを解決。ユーザーは簡単なインターフェースを通じて、複数チェーンのトークンをスムーズに管理・移動できるようになった。

異なるチェーン間の流動性向上だけでなく、DeFiエコシステム全体の成長にも大きく寄与すると期待されている。

グローバル流動性の解放:新幹線のような資本移動

この新機能は、チェーンごとに分断されていた流動性を一挙に解放する可能性を秘めている。これまでは「国境を越える」ときのような煩わしさを伴っていたチェーン間移動が、一本の高速列車で行き来できるようなメカっ速さになる。こうした変化は、価格発見の効率化、ポートフォリオの分散化、さらには新たなアービトラージ機会の創出に寄与し、市場参加者に多面的な恩恵をもたらすだろう。

ただし、クロスチェーンブリッジ分野は過去、セキュリティ面で課題を抱えてきた歴史がある。Celer、LayerZero、deBridge、Meson、Stargateといった複数のブリッジ・プロバイダーが最適ルートを選択する仕組みを備えるとはいえ、どれか一つの弱点が全体の信用喪失につながりかねない。セキュリティ、スケーラビリティ確保は、依然として市場参加者が注視すべき焦点だ。

BNB Chainとの連携:信頼性強化の布石

パンケーキスワップはBNB Chainとの連携を通じて、セキュアな基盤上にこのブリッジを築き上げている。BNB Chainはその堅牢性と拡張性に定評があり、これまでのクロスチェーンブリッジにまつわる不信感を払拭しうる可能性がある。信頼性の高いインフラをバックボーンに、ユーザーはより安心してマルチチェーン戦略を展開できる。

今回の発表は、パンケーキスワップが単なる「スワップ用プラットフォーム」を超え、マルチチェーン資本移動を統合的に提供するハブへ進化しつつあることを象徴する。かつては複数ウォレットや外部ブリッジへのアクセスが不可欠だったが、今後は一元化されたプラットフォームを介して、より円滑なユーザーエクスペリエンスが期待できる。

Web3インフラの標準化へ

さらなる展開として、クロスチェーン移動が標準インフラ化すれば、ユーザーは「どのチェーン上のトークンか」を意識する必要が薄れ、ブロックチェーンという基盤を意識しないスムーズな利用が可能となる。

これはWeb3がメインストリームへ浸透する上で不可欠なステップであり、ユースケース拡大において大きなマイルストーンとなるだろう。

関連:PancakeSwap(パンケーキスワップ)の使い方

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JinaCoinのニュース担当記者。仮想通貨歴は8年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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