堅実に成長する不透明コイン
ステーブルコインUSDT(テザー)発行元企業「Tether Holdings Limited」は31日、2023年第3四半期の連結埋蔵量報告書を公表した。準備金の現金および現金等価物の割合が過去最大となった。
テザー第3四半期の認証により、現金および現金同等物準備金の最高割合、有担保ローンの3億3,000万ドル以上の削減、米国国庫短期証券の726億ドルのエクスポージャーの維持が明らかに
監査を行なったのは世界トップ5の独立系会計事務所である「BDO Italia」だ。BDOは、2023年9月30日の時点に限定して、Tether Holdings Limitedの連結引当金報告(CRR)について妥当性保証業務を行っており、この日時の前後または報告書に記載された日時以外における財務上、非財務上の手続きは実施しておらず、いかなる保証もしない。

報告書によると、Tether社の総資産は約864億ドル(約13兆1,045億円)で、総負債は約831億ドル(約12兆6,039億円)で、過去最高の約32億ドル(約4,850億円)の超過準備金となっている。総負債のうち約831億ドルは、発行されたデジタルトークンに関連するものだ。
総資産の内訳は、米国債、オーバーナイトリバースレポ契約、マネーマーケットファンドの順に多く、それぞれ約566億ドル、約82億ドル、約82億ドルであった。現金は約3億ドルで、総資産の1%未満だ。
発表によれば、準備金に占める「現金および現金等価物」の割合は過去最高の85.7%に達した。また、準備金の大部分が米国債であり、直接的・間接的なエクスポージャー合わせて約726億ドル(約11兆円)に上る。
かねてより準備金としては不適格として指摘されていた「有担保ローン」については、10月31日時点で9億ドル(約1300億円)まで削減しており、最終的にはゼロにすると改めて表明した。
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発表に際し、テザー社のCTOであるPaolo Ardoinoは 、次のように述べている。
「Tether社の第3四半期認証は、透明性、安定性、責任ある財務管理に対する当社の揺るぎないコミットメントの証です。」
「現金および現金同等物で保有する準備金の割合は過去最高を達成し、ステーブルコイン・エコシステム内の流動性と安定性を維持することに専念していることを示しています。担保融資を減らし、市場の変動を乗り切ることができたのは、当社の強固なリスク管理戦略の証です。私たちは、テザー社の営業利益の堅固さを誇りに思っており、これは私たちの財務の強さと回復力を示しています。さらに、持続可能なエネルギー、ビットコイン・マイニング、データ、P2Pテクノロジーへの投資は、すべての人にとってより持続可能で包括的な金融の未来を築くという当社のコミットメントを例証するものです。”
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