AIエージェントの行動をSuiで証明、グーグル・クラウドと共同開発

AIエージェントの行動をSuiで証明、グーグル・クラウドと共同開発
Mysten labs公式サイトより引用
shoko-koyama
17 Min Read
Highlights
  • 6日、スイ開発のミステン・ラボが、グーグル・クラウドと共同開発中のAIエージェント向け証拠基盤「VAA」を発表
  • 詳細な記録はグーグル・クラウドに非公開で保存し、改ざんの有無を示す証明だけをスイとウォルラスに残す
  • 同社が挙げたEU AI法のログ記録の義務は高リスクAIが対象。附属書IIIの分野への適用は2027年12月2日から

暗号資産(仮想通貨)Sui(スイ、SUISUI)を開発するミステン・ラボは6日、グーグル・クラウドと共同で開発しているAIエージェント向けの証拠基盤「Verifiable Agent Arbiter(VAA)」を発表した。企業のAIエージェントが与えられた権限の範囲内で行動したことを、取引相手や監査人、規制当局が検証できる形で示すためのもので、本格提供の前に企業顧客への最初の導入を予定している。

ミステン・ラボのVAA、記録は非公開のまま証明だけをスイに

同社によると、VAAは、エージェントに何が許可され、実際に何をし、どんな結果になったかの記録をまとめる。プロンプト、モデルの出力、ツールの呼び出し、ポリシーの判断といった詳細な記録は、顧客が管理するグーグル・クラウド・ストレージに非公開で保存する。

その記録の完全性を示す暗号的な証明は、AI向けのデータ基盤ウォルラスに保存し、スイ上で管理する。記録を作ったプラットフォームとは別に、第三者が記録の正しさを確かめられるようにする狙いだ。同社が挙げる主な用途は次の4つである。

  • 企業間の紛争の再現:グーグル・クラウドが開発し、リナックス財団に寄贈したAgent2Agent(A2A)プロトコルで取引した2社が、同じ記録をもとに問題の取引を再現する
  • インシデントの再構築:プロンプト・インジェクション攻撃、ポリシーの回避、モデルの不具合、事後のログ改ざんを見分ける
  • 長期の記録保管:耐量子暗号を含む将来の暗号規格で証明し直しても、元の記録とのつながりを保つ
  • エージェントによる商取引:x402プロトコルでAPI利用料を支払う「Sui Agent Payments」と連携し、支払いの承認、支出の判断、サービスの提供を記録する

ミステン・ラボのエヴァン・チェン共同創業者兼CEOは、AIエージェントは金銭的・法的な結果を伴う判断を始めており、権限を超えないようにする仕組みと、どの取引相手でも検証できる証拠が必要だと述べた。

ミステン・ラボが挙げたEU AI法、ログ記録の義務は高リスクAIが対象

ミステン・ラボは、VAAがEUのAI法への対応を助けるとし、同法は2027年から、ログ記録の不備に最大1,500万ユーロ(約27億円)、または世界の年間売上高の3%の罰金を科すと説明している。

EU AI法(規則(EU)2024/1689)の第99条4項は、高リスクAIシステムの提供者(第16条)や導入者(第26条)などの義務違反と、一部のAIに課す透明性の義務(第50条)の違反に、最大1,500万ユーロ、または前年度の世界売上高の3%のいずれか高い方の制裁金を科すと定める。

ログ記録は、高リスクAIシステムに課す要件の1つである。第12条は、高リスクAIシステムに、動作中の出来事を自動で記録(ログ)できる機能を求めている。

適用の時期は、当初の2026年8月2日から延びた。7月24日に公布され、27日に施行された改正規則((EU)2026/1744)により、雇用、信用評価、教育など附属書IIIに挙げられた分野の高リスクAIへの義務は、2027年12月2日から適用される。

製品に組み込まれた高リスクAI(附属書I)は、2028年8月2日からとなった。

スイとグーグル・クラウド、2024年にも提携を発表

両者の協力は今回が初めてではない。2024年4月の発表では、グーグル・クラウドがスイのブロックチェーンデータをBigQueryの公開データセットに加えたほか、スイ側がグーグル・クラウドの生成AI基盤Vertex AIを、スマートコントラクト言語Moveで学習させたことを明らかにしていた。

この時の発表は、グーグル・クラウドの報道向けサイトにも掲載され、同社幹部の発言も含んでいた。今回のVAAの発表は、ミステン・ラボのブログとプレスリリース(PR Newswire)によるもので、JinaCoinが7日に確認した範囲では、グーグル・クラウド側からの発表は出ていない。

ミステン・ラボのプレスリリースは、VAAをグーグル・クラウドとミステン・ラボが共同開発している証拠基盤と説明している。開始時期や料金、導入企業の名前は公表していない。

日本では、東証スタンダード上場のトレードワークスがSBI証券と共同で、AIエージェントの操作履歴をブロックチェーンに記録する概念実証を、8月末までの予定で7月1日に始めた。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ユーロ=178.04円)

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仮想通貨歴6年。ニュース記者歴4年。常に仮想通貨ニュースを追う。情報ソースを追究し正しい情報をわかりやすく伝えることに努めている。仮想通貨は下落するたび買い増すタイプで、主にステーキングで資産運用中。
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