米ビットコインマイニング企業MARA(マラ)は26日、約11億ドル(約1,755億円)相当のビットコインを売却し、その資金を用いて約10億ドル(約1,595億円)相当の転換社債を買い戻すと発表した。この発表を受け、同社の株価は前日終値8.28ドルから一時13%超急騰(執筆時点)した。
純粋なマイニング事業から、デジタルエネルギーやAI・HPCインフラ事業への拡大を進める
発表によると、同社は2026年3月4日から3月25日にかけて、保有する15,133BTCを売却した。市場で売却して調達したこの資金の大部分は、同社が抱える既存の債務を削減するための社債買い戻し取引に充てられる計画だ。
今回の売却は、3月3日に発表された方針転換に続く動きである。同社は従来、マイニングした全ビットコイン
BTCを長期保有していたが、継続的な運営費を賄うため、市場状況や資本配分の優先順位に応じて随時売却する方針へと切り替えた経緯がある。
社債買い戻しについて、同社は特定の社債権者と契約を結んだ。2030年および2031年満期の転換社債の合計約10億ドル分を約9.1億ドルの現金で買い戻す。これにより社債残高は約30%減少し、約8810万ドルの現金節約と株式希薄化リスクの低減を実現する。
なお、今回の取引で全ての債務を清算したわけではない。買い戻し後も、2030年債は約6.3億ドル(約1,005億円)、2031年債は約2.9億ドル(約462億円)の残高がそれぞれ残る。ビットコイン売却益のうち買い戻しに充てなかった余剰資金は、一般的な企業運営に活用される。
フレッド・ティールCEOは今回の決断について、自社のバランスシートを強化し、長期的な成長に向けた事業基盤を整えるための戦略的な資本配分であると説明している。割引価格での買い戻しによって約8,810万ドル(約14億円)の支出を抑え、自社の条件で有意義な債務削減を実現した形だ。
ティール氏はまた、債務削減によってもたらされる財務面での柔軟性向上と、戦略的選択肢の拡大を強調した。同社は今後、純粋なビットコインマイニング事業の枠を超え、デジタルエネルギー分野やAI・HPCインフラ事業などへ領域を広げていく方針である。
全量保有から状況に応じた売却への方針転換が、債務圧縮という明確な財務改善につながった。自社株の希薄化を防ぎつつ、AIインフラ等の新規領域へ進出する資金的余裕を生み出した点は極めて合理的であり、市場が株価急騰で反応したことも頷ける。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.5円)




