ナスダック上場のバイオ医薬品企業「Leap Therapeutics, Inc.(リープ・セラピューティクス)」は12日、社名を「Cypherpunk Technologies Inc.(サイファーパンク・テクノロジーズ)」に変更し、プライバシー保護に特化した暗号資産(仮想通貨)「Zcash(ジーキャッシュ/ZEC)」を主要な財務資産とする、新たなデジタル資産戦略へと転換することを発表した。
ウィンクルボス・キャピタル主導で5,000万ドルのZECを取得
この戦略転換は、著名な暗号資産投資家であるウィンクルボス兄弟が率いるウィンクルボス・キャピタルが主導した、5,888万ドル(約91.1億円)の現金による私募増資によって実行された。プレスリリースによると、ウィンクルボス・キャピタルは、この増資に参加した「唯一の機関投資家」であったとされる。
サイファーパンク社は、この調達資金のうち5,000万ドル(約77.4億円)を即座に投じ、合計203,775.27ZECを平均取得単価245.37ドル(約3万7,962円)で取得したことを明らかにした。
この新戦略を推進するため、経営陣も刷新されている。ウィンクルボス・キャピタルの投資責任者であるウィル・マカヴォイ氏が、新設される最高投資責任者(CIO)兼取締役に就任。また、ビットコイントレジャリー企業トレジャリーの創設者であるキン・オエイ氏が、新会長に任命された。
なぜZECなのか?「デジタル・プライバシーは最も価値ある商品」
プレスリリースにて、サイファーパンク社はZECへの投資を行う理由について説明している。
同社は「世界がますますデジタル化するにつれ、プライバシーは希少で消えゆく資源となった」とし、「プライバシーを支持することは、世代的な使命であると同時に、巨大なビジネスチャンスでもある」と説明。その上で、「プライバシーは、言論、思想、結社の自由が繁栄するための基盤である」とし、「プライバシーが乏しい世界において、それは最も価値のある商品になる」と述べた。
ZECを選定した理由として、同社は「2016年にローンチされ、ビットコインと同じ(発行上限2,100万枚の)健全な金融原則に基づきつつ、ゼロ知識証明による画期的なプライバシー技術を導入した、最も古く尊敬されるブロックチェーンの一つ」であると評価。ZECは、「ビットコインがデジタル・ゴールドであると証明したのと同じように、資産の形をとったデジタル・プライバシーである」としている。
社名変更に伴い、同社のティッカーシンボルは「LPTX」から「CYPH」に変更され、11月13日の市場開始時から取引が開始される。また、同社が従来進めてきた、がん患者向けの新規治療薬の研究開発事業は、今後「Leap Therapeutics, Inc.」の名称を引き継ぐ完全子会社によって継続される。
上場企業による暗号資産トレジャリー戦略への転換として、さらにその対象としてビットコインやイーサリアムではなくZECを選択したという点で、同社の株価がどのように動くのか、市場から高い注目を集めそうだ。
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価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.71円)




