仮想通貨は流行から計画的投資対象に変化
韓国の大手銀行である「ハナ銀行」の関連シンクタンクである「ハナ金融研究所」は29日、韓国の20~50代の暗号資産(仮想通貨)投資に関する調査レポート「2050世代の仮想資産投資トレンド」を発表した。

レポートによると、韓国人の20代から50代の男女のうち、27%が仮想通貨を保有していることが明らかになった。また、保有者の金融資産全体に占める仮想通貨の割合は、平均で14%に達するという。
また、現在の仮想通貨投資家の中心はホワイトカラーの30〜40代男性で、全体の過半数を占めている。しかし、2024年以降は女性や20代の若年層の参入も増加傾向にあり、特に50万ウォン(約5.5万円)未満の少額投資が活発化しているようだ。
投資を始めた理由については、過去には「周囲の推薦や流行」が主な動機だったが、近年はその割合が減少し、「新しい投資経験」「ポートフォリオ管理」「将来の成長性」といった、より計画的な理由が増加している。これは、韓国において仮想通貨が単なる流行から、個人の資産を構成する本格的な投資対象へと認識が変化していることがうかがえる。
取引所の「1銀行1口座」制度に根強い不満
一方で、投資家は取引所の利用に関して大きな不便を感じていることも明らかになった。初めて取引所を利用した人のうち76%が不便さを感じており、その最大の理由として「既存の銀行口座と連携できない」点を挙げている。
これは、韓国の「1取引所1銀行」という規制により、ユーザーが特定の取引所を利用するためには、その取引所が提携する指定の銀行で新たに口座を開設しなければならないためだ。この不便さから、投資家が取引所を選ぶ際、取引所の機能性や手数料よりも「連携している銀行」を優先する傾向があることも指摘されている。
今後の投資意向については、回答者の71%が「普通」以上の関心を示しており、仮想通貨市場の成長ポテンシャルは依然として高いと見られている。
投資意向が低い層の多くも、市場の変動性や詐欺リスクへの懸念が払拭され、「伝統的な金融機関の役割が拡大」したり、「法的な規制が強化」されたりすれば、投資を前向きに検討する可能性があると回答。レポートでは、多くの韓国人投資家が、取引所の信頼性や利便性の向上を強く望んでいると分析している。
今回の調査は、韓国においても仮想通貨市場へのポジティブな見解が増している一方で、既存の金融システムとの連携や規制のあり方が、今後のさらなる普及に向けた重要な鍵であることを浮き彫りにしたものと言える。仮想通貨市場を取り巻く重要な要素として、韓国も含めた海外各国の動向に今後も注目していきたい。
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