KDDIが年内にも、共通ポイント「Ponta(ポンタ)」をステーブルコインに交換し、送金や決済で利用できるようにすることがわかった。10日、日本経済新聞が報じた。サービス実現に向けて、ブロックチェーン事業を手がける「HashPort(ハッシュポート、東京・港区)」に数十億円規模を出資し、持分法適用会社とする。
Ponta会員1億2,000万人をWeb3の世界へ
ハッシュポートは2018年創業で、大阪・関西万博で決済などに利用されたアプリ「EXPO2025デジタルウォレット」を開発した。このアプリは非代替性トークン(NFT)などのデジタル資産を保有できるのが特徴で、万博終了後は名称を「ハッシュポートウォレット」に変更した。
両社は、このウォレットアプリ上でポンタをステーブルコインに替えられるようにする。ステーブルコインはKDDIのキャッシュレス決済サービス「auPAY」の残高としてチャージできるほか、ステーブルコインを活用する金融サービスにアクセスできる。
ポンタの会員数は1億2,000万人、auPAYの利用者は約3,900万人に上る。ハッシュポートウォレットのダウンロード数も100万を超えた。KDDIとハッシュポートの顧客基盤や技術を掛け合わせ、ステーブルコインや暗号資産(仮想通貨)などを活用する個人の裾野を広げる。
近年は決済を手掛ける大手企業と、Web3企業の提携が相次ぐ。PayPay(ペイペイ)は10月9日、世界最大規模の暗号資産交換業者であるバイナンスの日本法人「Binance Japan(バイナンス・ジャパン)」と資本業務提携した。ペイペイ残高を利用して暗号資産を購入できるサービスを検討している。
通信会社単独でのWeb3戦略は苦戦するケースもあった。KDDIはNFTなどのデジタル資産を保有できる「αU wallet(アルファユーウォレット)」を提供してきたが、口座数が伸び悩む。NTTドコモグループのNTT Digitalも9月30日に「スクランベリーウォレット」のアプリ提供を停止している。
今回のKDDIとハッシュポートの提携は、ステーブルコインを通じて「ポイント経済」と「ブロックチェーン経済」を結ぶ試みである。ポンタを軸に、誰もが簡単にデジタル資産を使える環境が広がれば、暗号資産の裾野は一気に拡大するだろう。仮想通貨初心者にとっても、身近なポイントからWeb3の世界へ踏み出すきっかけとなる。
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