無期限先物市場で6割を占める取引シェア
分散型取引所(DEX)「Hyperliquid(ハイパーリキッド)」へのUSDC預入額が11日、過去最高の21億ドル(約3,100億円)に達した。この金額は、ハイパーリキッド独自のブロックチェーン「Hyperliquid L1」上で管理されており、同エコシステム内で自由に取引や運用が可能なUSDCの総額を指す。

今回の記録的な資金流入は、ハイパーリキッドのエコシステムに対するユーザーの信頼感と、分散型金融(DeFi)分野における同取引所の存在感の高まりを象徴している。これだけ大量のUSDCが預け入れられていることは、ユーザーがハイパーリキッド上での取引や戦略的活用に前向きであることを示している。
ハイパーリキッドの主要プロダクト「Hyperliquid DEX」の取引高は、2023年5月の立ち上げ以来、1.4兆ドル(206兆円)を超え、過去一週間で1日平均67億ドル(約9,900億円)以上の取引高を維持し、オンチェーン無期限先物市場の60%以上を占めている。

21億ドルもの資金がハイパーリキッドに預けられている理由の一つには、同プラットフォームの使いやすさや低遅延、高速な約定処理といった技術的特徴が挙げられる。また、ハイパーリキッドは独自のレイヤー1ブロックチェーン上に構築されており、他のEVM系ネットワークとは異なるスケーラビリティと処理効率を実現している。
ただし、預け入れられた資金のすべてが、すぐに取引に使われているわけではない。一定額はウォレット内に保管され、タイミングを見て流動性提供やレバレッジ取引、あるいはマーケットメーカー「HLP Vault(HLPボールト)」への参加に備えて待機していると考えられる。こうした背景から、USDCの預入総額は「潜在的な取引意欲」や「経済圏への関与度」を示す一つの指標ともいえる。
2025年3月には、このHLPボールトが、特定の高レバレッジポジションの清算時に約400万ドルの損失を被った事例もある。この件を受けて、プロトコル側はレバレッジ上限の見直しなどを行っており、リスク管理体制の強化が進められているとの見方もある。
それでも、USDCの預入額が21億ドルという水準に達したという事実は、ハイパーリキッドの経済圏に対する参加者の期待と信頼を反映している。今後の課題は、これだけの資金を受け入れたプロトコルが、どのように安全性と利便性を両立しつつ、継続的にユーザーの支持を得られるかにかかっている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.79円)