法案可決に向け下院議員11名と協議
ドナルド・トランプ米大統領は15日午前(日本時間16日午前0時29分)、自身の公式SNS「Truth Social(トゥルースソーシャル)」を通じて、現在米下院で審議中のデジタル資産推進法案、通称「GENIUS法案(ジーニアス法案)」への強い支持を表明し、同法案の可決を共和党議員に呼びかけた。

トランプ氏は、「ハッピー・クリプト・ウィーク!下院は間もなく、アメリカをデジタル資産における誰もが認めるナンバーワンのリーダーにするための素晴らしい法案について投票するだろう」と投稿。続けて、「GENIUS法案は、我々の偉大な国を、必死に追いつこうとしている中国や欧州、その他すべての国々よりはるかに優れた国へと押し上げるだろう」と述べ、法案の重要性を強調した。さらに、「今日の午後、最初の採決を済ませましょう!(共和党員は全員賛成票を投じるように!)」と、採決に向けて、党内に賛成票を投じるよう強く促した。
「クリプトウィーク」とGENIUS法案とは
トランプ氏がこのタイミングで強気な姿勢を表明した背景には、米下院が今週(7月14日~)を「クリプトウィーク」と位置づけ、暗号資産(仮想通貨)に関連する複数の重要法案を集中的に審議していることがある。
クリプトウィークでは、GENIUS法案の他、デジタル資産関連規制を明確にする「CLARITY法案(クラリティ法案)」、米連邦準備制度理事会(FRB)が個人を対象に中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行することを禁止する「反CBDC監視国家法案」が下院本会議で審議され、採決まで進む予定であるとされた。
中でもGENIUS法案は、米国内におけるステーブルコインの規制の枠組みを明確化するもので、すでに6月に上院で可決された重要法案だ。この法案が成立すれば、企業や銀行は明確なルールの下でステーブルコインを発行・運用できるようになり、デジタル金融における米国の主導権を確立する上で大きな一歩になると期待されている。
しかし、米下院は15日(日本時間16日早朝)、これらの仮想通貨関連法案の審議入りを進めるための手続き動議を196対223で否決。これにより法案の審議が暗礁に乗り上げたことを受け、トランプ大統領は冒頭のメッセージを投じたのだ。
さらに同日午後(日本時間16日午前9時43分)の投稿では、GENIUS法案の可決に必要な下院議員11名とホワイトハウスで協議を行い、翌16日朝(日本時間16日夜~深夜)に予定されるルール採決(法案の審議入りを許可するための採決)に、全員が賛成する意向を示したことを報告した。会議にはマイク・ジョンソン下院議長も電話で参加し、早期採決に意欲を示したという。

GENIUS法案は、トランプ政権によるクリプト推進政策を象徴するような法案として世界中から注目を集めている。トランプ大統領の発信により「クリプトウィーク」が当初の思惑通り進むのか、今後の進展に注目しよう。
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