金融庁、仮想通貨のインサイダー規制導入へ──投資商品としての整理進む

ヤマダケイスケ
11 Min Read
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

決済手段か投資対象か 仮想通貨を巡る規制のねじれ

金融庁が暗号資産(仮想通貨)に対し、未公開の内部情報に基づく売買を禁止する「インサイダー取引」の規制を新設する方針であることが明らかになった。30日、日本経済新聞が報じた。

仮想通貨はこれまで主に支払い用途での利用が想定され、資金決済法に基づいて「決済手段」としての法的位置づけがなされてきた。だが、近年では投資対象としての取引が活発化しており、現行規制との間に溝が生じている状況だ。今回のインサイダー取引規制の導入方針は、こうした両者間の乖離を是正し、仮想通貨を投資商品として適切に取り扱う枠組みの整備に向けた一環と見られている。

海外ではすでに、仮想通貨を利用したインサイダー取引のリスクが顕在化している。23日には、世界最大の仮想通貨取引所「Binance(バイナンス)」が、従業員による不適切な取引行為を公表した。当時、その従業員はWalletチームに所属していたが、前職のBNB Chain(BNBチェーン)部門で得た非公開情報を基に、トークン生成イベント(TGE)実施前に大量のトークンを購入。情報公開後に売却することで巨額の利益を得た。この行為は、前職の内部情報を私的に利用したフロントランニングに該当するとされ、バイナンスは即時の停職処分および法的対応を発表している。

日本でも、仮想通貨取引が個人投資家を中心に活発化するなかで、不公正取引が起きるリスクは看過できない。こうした国際事例を踏まえ、金融庁による制度整備の動きは極めてタイムリーと言えるだろう。

税制面の見直しや利用者保護に向けた動き

金融庁は2026年、仮想通貨を金融商品取引法(金商法)の適用対象とする改正案の国会提出を予定している。仮想通貨を金商法の法的枠組みに移行させることで、投資商品としての位置づけをより明確にしようという考えだ。ただし、株式や債券などの有価証券とは異なり、仮想通貨はその性質を踏まえて、金商法上で独自に位置づけられる方向で検討が進められている。

こうした位置づけの明確化に伴い、仮想通貨の税制面の見直しにも関心が集まっている。現行制度では仮想通貨の売買益は総合課税の対象であり、住民税を含めると最大で55%の高い税率が課される。これに対し、分離課税を求める声が高まっており、金融庁も2026年度の税制改正要望に盛り込むことを検討していると見られている。

また金融庁は7日、仮想通貨交換業者に対して「国内保有命令」を出せるようにする資金決済法の改正案も公表している。これは、利用者の資産を国内に保持させ、交換業者の破綻時に資産が海外流出することを防ぐ狙いだ。この改正案では他にも、仮想通貨仲介業制度の新設やステーブルコイン裏付資産の運用規制の緩和などが盛り込まれている。

グローバルな仮想通貨推進の動きもあり、国内でも仮想通貨市場の急速な成長が見られる。国内投資家が安心して仮想通貨にアクセスできる環境整備は、金融庁にとって急務と言えるだろう。仮想通貨市場の変動に注視しながら、金融庁による今後の規制動向にも目を向けていきたい。

関連:金融庁、暗号資産の国内保有を義務化へ──資金決済法改正案
関連:金融庁、無登録の海外仮想通貨取引所5社に警告書を発出

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

Share This Article
仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
Leave a Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA