株式・社債を通じて資金調達、7月1日に完了予定
フランスの半導体企業「Sequans Communications(シークアンス・コミュニケーションズ/NYSE:SQNS)」は23日、コア事業である半導体およびモジュールビジネスを継続しながら、企業としてビットコインを取得・蓄積する「ビットコイン・トレジャリー」事業に進出すると発表した。同社はこの新事業に向けて、総額約3億8400万ドル(約563億円)の資金調達を実施する。
今回の資金調達は、私募形式で実施される。具体的には、約1億9,500万ドル(約285億円)分の株式と、1億8,900万ドル(約277億円)相当の転換社債を発行・販売する。調達された資金は、同社のビットコイントレジャリー戦略の実行に活用される予定である。
この戦略について、同社CEOのジョルジュ・カラム氏は「ビットコインは卓越した資産であり、長期的に見て魅力的な投資対象であると強く信じている」とコメント。「その独自の特性は当社の財務的な強靭性を高め、株主にとって大きな価値をもたらすだろう」と述べている。
運用体制の構築にあたっては、ビットコイン・トレジャリー管理ソリューションを提供する「Swan Bitcoin(スワン・ビットコイン)」と連携する見込みだ。
一方で、シークアンスは本業であるIoT市場向けの4G・5G半導体の提供にも引き続き注力する方針を明確にしている。カラム氏は「当社はお客様のニーズに応える強力な製品ロードマップを維持しており、4Gから5Gへの円滑な移行を支援していく」として、今後もIoT分野での製品革新に取り組む姿勢を強調した。
今回のシークアンスによるビットコイン・トレジャリー事業への参入は、企業財務における暗号資産(仮想通貨)活用の広がりを象徴するものである。同社が主力事業を堅持しながら新領域に挑む姿勢は注目に値するが、暗号資産市場は依然として高いボラティリティを伴うため、今後の運用方針とリスク管理の透明性が、企業としての信用を維持する鍵となるだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.60円)