大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの創設者であるチャンポン・ジャオ(通称CZ)氏の恩赦をめぐり、同氏の個人弁護士であるテレサ・グッディ・ギレン氏は、起業家・投資家であるアンソニー・ポンプリアーノ氏のYoutubeチャンネルに出演。15日に公開された動画内で、恩赦の見返りとして「ペイ・トゥ・プレイ(pay-to-play、金銭による見返り取引)」や汚職があったとする疑惑を全面的に否定した。
罪状は「規制違反」に過ぎず「不当な起訴」だったと断言
ギレン氏は動画内で、CZ氏の不正などに関する一連の報道を「虚偽の記述」の積み重ねであると一蹴し、その多くは「ブロックチェーン技術やビジネスの仕組みに対する根本的な誤解」に基づいていると述べた。
同氏はまず、CZ氏が問われた罪状について「バイナンスがアンチ・マネーロンダリング(AML)プログラムを導入・維持しなかったこと」であり、これは「規制上の違反」または「コンプライアンスの問題」であるとした。
そして「マネーロンダリング自体に関与したわけではない」と強調し、それにもかかわらず起訴され投獄されたのはCZ氏が「歴史上初めて」であると指摘。同氏は「そもそも起訴されるべきではなかった」とし、この恩赦は「正義をもたらすため」に行われたと主張した。
ギレン氏は、CZ氏が他(大手金融機関・取引所のCEOなど)と異なる扱いを受けた理由について、FTXの崩壊時期とも重なった「暗号資産との戦争(war on crypto)」の一環であり、「誰かを迫害する必要があった」ためだと分析している。
「WLFI」や「USDC1」を巡る報道を否定
インタビューの中でギレン氏は、恩赦をめぐる「ペイ・トゥ・プレイ」や汚職の疑惑について、その根拠とされる情報が誤解や虚偽に基づいていると具体的に反論した。
同氏は、これらの疑惑が「メディアがメディアを引用しているだけで、確かな情報源に基づくものではない」と指摘し、以下のように説明している。
- 「World Liberty Financial(WLFI)」との関連について
メディアがWLFIを「トランプ氏の会社」と報道していることに対し、「それが真実であることを示すものを見たことがない」と否定。「トランプ関連企業による少数株主保有の報告は見たことがある」としながらも、WLFIがトランプ氏の会社であるという前提自体が「有効な前提ではない」と述べた。 - WLFIのステーブルコイン「USDC1」との関連について
WLFIが発行したステーブルコインUSDC1がBNBチェーン上で発行されたことを「見返り」の証拠とする見方に対し、ギレン氏は「ブロックチェーンがどのように機能するかについての根本的な誤解」であると一蹴。「(BNBチェーンは)オープンでパブリックなものだ」とし、「例えば私がクレイグスリスト(米国の掲示板サイト)に何かを掲載したからといって、クレイグスリストの元CEOと特別な関係があることにはならない」と例え、憶測に過ぎないと切り捨てた。 - 「秘密のビットコインウォレット」疑惑について
「トランプ氏が秘密のビットコインウォレットを持っており、CZ氏側から直接送金があったのではないか」という陰謀論的な質問に対しても、ギレン氏は「私はCZ氏を知っている。そのようなことは絶対に起こらない。彼はそういう人ではない」と強く否定。さらに、「もしそれが事実なら、分散型台帳技術(DLT)の透明性によって追跡され、検証可能な形で報道されているはずだ」と付け加えた。
最後にギレン氏は、CZ氏の恩赦は特異なものではなく、過去にはアーサー・ヘイズ氏やシルクロード創設者ロス・ウルブリヒト氏も恩赦を受けていると言及し、一連の疑惑報道が「ばかげている」と改めて強調した。
これらはCZ氏の弁護士による見解であるため、今後反論がなされる可能性もあるが、いずれにしてもCZ氏はすでに恩赦を受けている。暗号資産業界としては、これ以上スキャンダラスなトピックが広がらないことを祈るばかりだ。
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