東証グロース上場のコンヴァノ(6574)は2日、円建てステーブルコイン(JPYC)を活用した実物資産(RWA:Real World Assets)の決済・流通支援事業を開始すると発表した。同社は本事業に総額14億円を投資し、業務提携や共同開発を通じて実物資産のトークン化市場への本格参入を図る。
国内RWA市場の制度整備進展を背景に参入
世界の金融市場においてRWAのトークン化が加速度的に拡大している中、国内でも2023年の改正資金決済法により円建てステーブルコイン(JPYC)の発行・利用に関する制度整備が進展。安定的な円建てデジタル決済インフラを活用したRWA市場の実務構築が可能となった環境変化を受け、同社が新規事業として正式参入を決定した。
RWAは不動産、インフラ、再生可能エネルギー、アートやコレクティブルズ等の実物資産をデジタル証券化し、透明性と流動性を高めることで、従来アクセスが制限されていた資産クラスを広範な投資家層に開放する仕組みだ。
即時決済・配当分配でブロックチェーン活用
本事業の目的は、円建てステーブルコインを活用してRWA市場における「決済・配当・二次流通」を効率化し、投資家と資産オーナーの双方に具体的なメリットを提供することだ。
具体的には、流動性とエグジットの選択肢拡大、分散投資の質とアクセスの民主化、決済・分配の即時化を実現する。投資家は円建てステーブルコイン(JPYC)を利用してRWAトークンを取得でき、従来の銀行送金に比べて即時性と低コストを兼ね備えた決済を実現する。
電子記録移転権利としてのRWAは、投資家属性・移転制限・ロックアップなどの条件をスマートコントラクトに組み込みつつ、条件を満たす参加者間での二次流通を設計できる。これにより「長期資産×必要時の売却」という相反するニーズのバランスを円建て基軸で取りやすくなる。
同社が検討する対象資産は、①不動産(商業施設、物流拠点、レジデンス)、②再生可能エネルギー設備(太陽光、風力、バイオマス)、③社会インフラ(下水道、5G通信関連設備)、④コモディティ資産(貴金属、エネルギー資源、ネイル関連資材)、⑤アート作品・コレクティブルズ(絵画、彫刻、その他美術品)となっている。
ビットコイン保有戦略室が意思決定を主導
本事業は同社の「ビットコイン保有戦略室」において決議された。同室は取締役会決議に基づき暗号資産関連の新規事業開始を決定する権限を委譲された社内部署で、同社グループが推進するWeb3領域のデジタルインフラ戦略と密接に連携する統合ソリューションとして位置づけられている。
14億円の投資内訳は、①戦略的業務資本提携対価、②システム接続・共同開発費、③法務・コンプライアンス費用で構成され、詳細配分は今後の取締役会で決定される。全額をインベストメント&アドバイザリー事業の営業キャッシュフローから充当する。
事業開始日は業務提携契約の締結を経て決定されるため現時点では未定で、締結および事業開始時期が決定次第適時開示するとしている。
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