Celsius元CEOに禁固12年判決──詐欺とトークン価格操作で有罪

ヤマダケイスケ
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2025年9月12日までの出頭命令が下る

2022年7月に破産した暗号資産(仮想通貨)レンディング企業「Celsius Network(セルシウス・ネットワーク、以下セルシウス)」の元CEOアレックス・マシンスキー氏が8日、米連邦検事局より商品詐欺および証券詐欺などの罪で禁固12年の実刑判決を受けたことが明らかになった。

マシンスキー氏はCEO在任期間中、セルシウスの事業や財務面で虚偽の主張を繰り返してきた。同社の高い収益性や高利回りの持続可能性を訴え、顧客を誘致したとされている。さらに、セルシウスの独自通貨「CEL」の価格操作のため、数億ドル規模のCELを購入し、意図的にその価値を吊り上げたことも問題となった。なお、このCEL購入には顧客資産の一部が流用されており、セルシウスはその事実を顧客に開示していなかったとされている。

マシンスキー氏はCELの価格操作により、トークン売却から約4,800万ドル(約70.5億円)もの利益を得ていたが、公の場ではCELを売却していないと主張。また、セルシウスが2022年6月に顧客資産の引き出しを突然停止する直前、同氏は同社の財務状況の安定を顧客に保証していたものの、その裏ではCEL以外の資産約800万ドル(約11.6億円)相当を自身の口座に移していたことも明らかに。同氏に対する規制当局からの厳しい追及は必至となっていた。

セルシウスの資産引き出し停止により、数十万の顧客が合計47億ドル(約6,849億円)の資産にアクセスできない状況に陥り、仮想通貨業界全体に大きな衝撃を与えた。2023年7月には、米司法省をはじめとした規制当局がマシンスキー氏およびセルシウスを提訴。2024年12月、マシンスキー氏は一部罪状を認めている。

今回の判決では禁固12年のほか、3年間の保護観察処分や5万ドル(約729万円)の罰金、さらに不正取得したとされる総額4,839万3,446ドル(約70.5億円)の没収も命じられている。ジェイ・クレイトン米連邦検事は「トークン化とデジタル資産の利用には大きな可能性があるが、それが欺瞞を正当化する理由にならない」と述べ、今後も規制を無視した行為には厳格に対応する姿勢を強調した。

なお、米報道機関「Inner City Press(インナーシティプレス)」が公式Xに投稿した内容によると、ジョン・G・コエルトル米国地方裁判所判事はマシンスキー氏に対し、2025年9月12日までに刑務所へ出頭するよう命じたことが明らかになっている。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=145.79円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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