拡大する代替チェーン、イーサリアムの覇権に陰り
Cardano(カルダノ)の創業者チャールズ・ホスキンソン氏は23日、公式XでのAMA(質疑応答)内でEthereum(イーサリアム)に対する厳しい見解を示した。同氏は「今後10年から15年以内にイーサリアムが崩壊する可能性がある」と発言。暗号資産(仮想通貨)業界内では波紋が広がっている。
ホスキンソン氏はイーサリアムの将来性を危惧する要因として、レイヤー2やビットコインDeFi(分散型金融)の存在を挙げている。同氏はレイヤー2を「寄生的」と表現しており、これらの技術がメインチェーンであるイーサリアムから価値を吸い取っていると指摘。また、ビットコインDeFiの台頭により、ユーザー資産がイーサリアムから離れていくだろうと語った。
さらにホスキンソン氏は、イーサリアムには会計モデルや仮想マシン、コンセンサスモデルの3つに根本的な設計上の問題があると指摘。これらを修正・変更することは困難であると強調した。だが、イーサリアムが抱える問題を放置すれば、かつて時代をリードしながらも衰退したテクノロジー大手「MySpace(マイスペース)」や「BlackBerry(ブラックベリー)」のような運命を辿る可能性があるとも語っている。
競合となるレイヤー1の存在も脅威に
イーサリアムに脅威を与える問題はこれだけではない。ホスキンソン氏はSolana(ソラナ)やSUI(スイ)など、高いスケーラビリティを誇るレイヤー1の存在がイーサリアムの市場シェアを奪う可能性がある点も強調している。
仮想通貨のデータプロバイダー「CoinGecko(コインゲッコー)」によると、ブロックチェーン全体におけるTVL(預かり資産)は執筆時点で930億ドル(約13兆円)超え。そのうち、イーサリアムのTVLは約500億ドル(約7兆円)と全体の54.23%を占めている。

ソラナは約79億ドル(約1兆円)と2位についているものの、イーサリアムが依然として圧倒的な存在感を放っている状況だ。競合ブロックチェーンが独自の優位性を強め、ユーザーや開発者にとってより利便性が高まっていけば、今後イーサリアム一強の状況が転覆する可能性も否定できないだろう。
業界ではイーサリアムの終焉は早いという意見も
ホスキンソン氏の発言の一方、イーサリアムの崩壊は早計だとする意見もある。「Electric Capital(エレクトリックキャピタル)」の共同創業者アビチャル・ガーグ氏は、イーサリアムが2025年7月に10周年を迎える点に着目している。
同氏はビットコインが10周年を迎えた状況を引き合いに出し、機関投資家や政府が当時ビットコインを信頼していなかった点、DeFiやステーブルコイン等の技術が進歩していなかった点を強調。過去のビットコインの状況を考慮しても、「イーサリアムが終わったと考えるのは愚かだ」と公式Xで述べている。
今回のホスキンソン氏の発言は、イーサリアムを取り巻く課題や競争環境を改めて浮き彫りにした。しかし、その成長と適応力を評価する声が根強いのも事実である。イーサリアムがどのように市場での優位性を発揮し、現状のポジションを維持していくのか、今後の動向に注目していきたい。
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