ビットコイン、高金利下でも上昇 背景に「価値の保存手段」認識の拡大=CryptoQuant

伊藤 将史
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金利が上昇してもビットコインが下落しない市場構造に変化

オンチェーンデータ分析プラットフォーム「CryptoQuant(クリプトクオント)」のアナリスト、Darkfost氏が15日、「ビットコインとマクロ経済のパズル:なぜBTCは歴史的な高金利下でも上昇するのか」と題した分析記事を公開した。

Darkfost氏によると、暗号資産(仮想通貨)市場は伝統的に、米ドルインデックス(DXY)や米国債利回りといったマクロ経済指標と強い相関関係にあったという。具体的には、DXYと米国債利回りが上昇する金融引き締め期には、株式などの「リスク資産」から資本が退避する傾向があり、これまでビットコイン価格も下落するのが典型的なパターンとなっていた。

ビットコイン価格(黒線)と各種米国債利回り(カラー線)、ドル指数DXY(オレンジ線)の比較チャート
ビットコイン価格(黒線)と各種米国債利回り(カラー線)、ドル指数DXY(オレンジ線)の比較チャート 出典:CryptoQuant

しかし、現在のサイクルではこの関係性が変化している兆しがあるとDarkfost氏は指摘する。上のチャートが示すように、米国債利回りはビットコインの歴史上でも最高レベルに達しているにもかかわらず、ビットコイン価格も同様に上昇トレンドを続けている。

この「異常事態」は、マクロ経済の中でのビットコインの役割に「構造的なシフト」が起きていることを示唆している、と同氏は分析。その理由として、「ビットコインが価値の保存手段としてますます認識されるようになっている」と述べた。

「価値の保存手段」としての認識が広まることは、ビットコインが単なる投機的な短期売買の対象から、インフレや経済の不確実性に対する長期的なヘッジ資産へと、その役割を変えつつあることを意味する。これは、伝統的に金(ゴールド)が担ってきた役割である。

Darkfost氏が提唱する新しいナラティブ(物語)が定着すれば、ビットコインが伝統的なマクロ経済の力に対してどのように反応するかが再定義される可能性がある。このような金利上昇という逆風の中で価格が上昇を続ける現在の状況は、ビットコインが株式のような従来のリスク資産とは異なる独自の価値を持つ資産クラスへと、進化している過程なのかもしれない。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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