21日から22日にかけてゴールド価格が過去最大級の下げ幅を記録した。21日午前には1トロイオンス=4,380ドルと高値圏を推移していたゴールド相場は午後から流れが一変。22日午前には危うく4,000ドル割れ目前まで迫ったが、13時時点では4,130ドル台まで持ち直している。

今年のゴールド相場は「ゴールドラッシュ」といわれるほどのバブルを迎えていた。一般的にリスク資産である株に資金が集中する局面は、ゴールドのような安全資産にとっては向かい風となりやすい。しかし、8月以降の相場では日米の株価とゴールド価格が同時に上昇するという動きが発生。ゴールドラッシュに乗り遅れまいとする投機筋の買いが集まったことが上昇の一因だろう。
テクニカル面をみても投機筋の売りが集まりやすいチャート形状であった。2回の反発が起きた4,380ドルをダブルトップの天井とみた投機筋が売り抜けたことで売り圧力が強まり、サポートラインである4,180ドル台に溜まっていたであろう損切りを巻き込んだことで、大幅な下落が発生したと考えられる。
ゴールド価格はこれからが正念場となる。ウクライナや中東和平に明確な目途がついたわけでもなく、米中貿易摩擦など問題は山積みだ。「今回の暴落は単なる調整であり、上昇トレンドを取り戻すのか」それとも「投機によるバブル崩壊で方向感をなくすのか」。投機マネーというアクが抜けたこれからの相場こそ、ゴールドの正しい現在地となりそうだ。
ゴールド下落で再び注目されるビットコインとの関係性
2020年にゴールドが最高値を付けた後に下落を開始した際、逆にビットコインは最安値を付けた後に上昇を開始したことで、ゴールドとビットコインの逆相関関係に注目が集まっていた。もし逆相関関係があるのであれば今回のゴールド暴落にあわせて、ビットコイン価格が上昇してくる可能性があるので注意しておきたい。
デジタルゴールドとも呼ばれるビットコインは、有事の際にほかの暗号資産(仮想通貨)を売却してビットコインが買われる、安全資産のような役割を果たしている。ただし、ゴールドと比べるとビットコインはあくまでリスク資産であるため、2020年には両者が逆相関関係となったとも考えられる。現在のゴールド下落局面でも、同様の動きが再現するかが注目されている。
まだまだ発展途上であるビットコインは銘柄との関係性が変わりやすい。とりわけゴールドは世界トップクラスの安全資産であるため、トレーダーは両者を比較しながら観察していくことで、より精度の高いトレードができるようになるだろう。
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