ビットコインは17日も続落し、日本時間18日午前にはついに90,000ドル台後半に突入。オンチェーンデータからも金融市場全体がリスクオフムードに入った兆候が見られる。一方で過去サイクルとは異なった動きも確認されており、引き続き先が読みづらい状況だ。
グローバル流動性悪化でリスクオフ相場突入
オンチェーン分析企業のアルファエクストラクトは18日、公式Xにて「グローバル流動性の減少により、市場全体がリスクオフに突入した」との見解を投稿。
米財務省の当座預金(TGA)の増加や担保価値の低下などが影響し、市場に出回る資金は約8,000億ドル(約124兆2,000億円)減少した。流動性の低下はあらゆるリスク資産にとって逆風であり、ビットコインの下落要因の一つとなっている。
またグローバル流動性の変動率(RoC)の3カ月線が12カ月線をブレイクし、デッドクロスが完成。歴史的にRoCのデッドクロスは重大なトレンドの転換点を示してきた。
ビットコインはグローバル流動性の影響を受けやすい資産であるため、現在の下落は「私たちがまだ気づいていない、より深刻な危機を先取りしている可能性がある」とアルファエクストラクトは警鐘を鳴らす。
需給が逆行、長期勢と短期勢の乖離が過去最大級に
一方、オンチェーン分析企業のクリプトクオントは18日、公式Xにて「短期保有者がビットコインを投げ売りする中、長期保有者は積極的に蓄積を進めているにも関わらず、歴史的にみて異常な値動きを見せている」と指摘。
10月6日以降「売却しない長期保有者」によるビットコイン需要は15万9,000枚から34万5,000枚へと急増。過去のサイクルで同じような現象が起きた局面では、ビットコインが供給不足に陥り、一時的な強い上昇と短期的な天井形成につながるケースが多かった。

しかし、今回のケースでは近年のサイクルで最大級の蓄積となっているにもかかわらず、市場全体は「極度の恐怖」状態に傾きビットコイン価格は急落。長期勢は超強気、短期勢や個人投資家は超悲観と、大きくセンチメントが乖離している。
クリプトクオントは、今後の値動きとして大きく二つの可能性を示唆。ひとつは、パニック売りを長期保有者が吸収し続けた結果、売り物が枯れたタイミングで強い反発ラリーが発生するシナリオ。もうひとつは、市場の弱気マインドが完全に放出される際にもう一段の下落が発生。その過程で現在蓄積を進めている長期勢も「落ちるナイフ掴み」となる展開だ。
いずれにせよ「長期マネーの流入と短期センチメントの乖離は長くは続かず、一度解消に向かうときには大きな価格変動を伴うことが多い」とクリプトクオントは結論づけている。
市場構造の変化で4年サイクル論は通用せず
一方、クリプトクオントCEOのキ・ヨンジュ氏は17日、自身のXにて「現在の下落は長期保有者が互いのポジションをローテーションしているだけ」との見解を投稿。
現在、初期のビットコイン投資家による売却が市場を圧迫しているが、その流動性をウォール街などの伝統的投資家が吸収。仮想通貨投資家から機関投資家へバトンタッチが行われている最中だとキ氏は指摘。
企業のビットコイン財務戦略、現物ETFや年金基金など、市場構造は以前のサイクルと全く異なっており、市場の悲観ムードにもかかわらず、新たな流動性の流入やオンチェーン活動が依然として活発。現在の下落は「初期投資家の売り圧に一時的に圧迫されているだけで、4年サイクルの終焉によるものではない」とキ氏は結論づけた。
これまでのサイクルであれば、現在の状況は「強気相場の終焉」と捉えられていたが、市場構造の変化により歴史的なパターンと異なる動きが複数確認されている。引き続きさらなる下落への警戒は必要だが、目線を下に固定するのは早計かもしれない。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.25円)




