ビットコイン(BTC)は25日、節目とされていた110,000ドルを割り込み、暗号資産(仮想通貨)市場では再び悲観的なムードが広がっている。執筆時点では109,931ドルで推移しており、直近の上昇基調は完全に崩れた格好だ。

市場心理の冷え込み、さらなる下落か反発か?
110,000ドルという水準は過去に複数回レジスタンスとして機能し、直近ではサポートとしても安値を支えてきた重要な価格帯だった。しかし、今回この水準を実体レベルで割り込んだことで、日足では強気から弱気への転換が鮮明になっている。
オンチェーンデータ分析企業「Glassnode(グラスノード)」によると、現在の価格水準は5月から7月にかけて投資家がビットコインを買い増しした平均取得価格にあたるという。この価格帯を維持できなければ、過去のパターンから見ても数ヶ月に及ぶ市場の低迷や深い下落局面に突入するリスクがあると同社は指摘する。
大口投資家によるETHへのシフトが市場へ波及
今回の急落の要因として注目されるのが、大口投資家(クジラ)の動きだ。ファイナンシャルアナリストのジェイコブ・キング氏は、大口投資家が5年以上休眠状態であったビットコインを含め、直近で24,000 BTCを売却したと指摘。そのうち18,000 BTC(約20億ドル、約2,945億円)相当がイーサリアム(ETH)購入に充てられており、すでに13億ドル(約1,916億円)相当がステーキングされているという。
こうした大規模な売り圧力は市場に波及し、25日にはビットコインのロングポジションが大幅な清算を記録した。オンチェーンデータプラットフォーム「coinglass(コイングラス)」のデータによると、同日のロングポジションの清算額は約8億ドル(約1,178億円)に到達。14日以来となる目立った清算額を見せている。

重要なサポートを失ったビットコインは、今後の市場動向を占う分岐点に差し掛かっている。今後価格回復の糸口を見いだせるか、それともさらなる下落局面に突入するのか、市場からの視線が一層厳しくなっている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.4円)