大規模ハッキングのバランサー、回収資産12億円の分配案を公表

ヤマダケイスケ
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Highlights
  • 分散型取引所「Balancer」コミュニティ、ハッキング被害で回収した約800万ドルの分配案を提案
  • 外部ホワイトハットへの報酬は回収額10%かつ100万ドル上限、本人確認などの要件を明確化
  • 流動性提供者はプールの持分に応じて元の資産を返還、請求手続きと責任放棄を条件に

分散型取引所Balancer(バランサー)のコミュニティは27日、3日に発生したッキング事件で救出された約800万ドル(約12億円)の資産をどのように分配するかを定める提案を公表した。この提案は、被害回復とリスク管理戦略の実行に向けた重要な一歩となる。

ホワイトハットへ回収額の10%、流動性提供者はプールの持分に応じて分配

事件の発端となったのは3日に発生したバランサーv2のプールを標的とした攻撃で、最終的に1億1,660万ドル(約182億円)相当の暗号資産(仮想通貨)が流出したとみられている。

チームは攻撃者に対し、資産を48時間以内に全額返還すれば、回収額の20%を報酬として支払うという異例のオファーを提示。その一方で、外部のホワイトハットや内部セキュリティチームが並行して救出活動を展開。結果として約800万ドルの資産回収に至った。

提案ではまず、資産救出に貢献した外部ホワイトハットへの報奨金の明確な基準が示された。事前に合意された契約に基づき、回収額の10%を報奨金として支払うとしている。ただし、1回の救出につき100万ドル(約1.5億円)を支払い上限とし、受け取りには本人確認や制裁リスト確認などのコンプライアンス要件を満たすといった条件設定がなされている。

これに対し、バランサーのサービス契約下で動いた内部チームについては、外部ハッカー向けの報酬プログラムの対象外となっているため、今回の報酬支払いには含まれないとしている。

また、被害を受けた流動性提供者への対応についても具体案が示された。盗難された元のトークンを、各提供者のプール持分に応じて配分し、そこからホワイトハットへの報奨金分を差し引く形で分配。資産が盗まれる直前のブロックを基準とし、持分を確定するスナップショットを実施するとしている。

ただし、資産の受け取りには請求手続きを設け、バランサーとその関連組織に対する責任放棄への同意を求める仕組みが導入される。なお、一定期間経過しても請求されない資産は休眠扱いとなり、コミュニティ提案によって処分方針を決定するとしている。

今回示された提案は、攻撃後の混乱を整理し、救出資産の分配を透明な形で進めるための基盤となる。コミュニティの判断がどのように反映されるかが、今後のバランサーの信頼回復に向けた鍵になりそうだ。

関連:分散型取引所バランサー、大規模ハッキングで約180億円超の資産流出
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.3円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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