暗号資産(仮想通貨)取引所「BitMEX(ビットメックス)」の元CEOであるアーサー・ヘイズ氏が21日、保有していた約96,600 HYPEを自身のウォレットから引き出していたことが明らかになった。22日、仮想通貨インフルエンサーであるMLM氏は、「これらのHYPEが約510万ドル(約7.5億円)で売却された」と公式Xで指摘している。
HYPE残高はゼロ、売り圧を助長するか?
Hyperliquid(ハイパーリキッド)のオンチェーン動向を追跡する「HypurrScan」によると、ヘイズ氏のウォレットでは直近4〜6週間において、HYPEの継続的な入金が確認されている。しかし、21日には突如として自身が所有する別のアドレスへHYPEを送金。執筆時点でウォレット上のHYPE残高はゼロとなっている。

ヘイズ氏はMLM氏の投稿に対して、「フェラーリ849テスタロッサの頭金を支払う必要がある」と冗談混じりで反応。同氏の言動からしても、売却のためにHYPEを仮想通貨取引所へ送金した線が濃厚であると言える。
なお、ヘイズ氏は8月に投稿したMedium(ミディアム)の記事にて、「現在の水準からHYPEは将来的に126倍に高騰する可能性がある」と強気な見解を示していた。今回の動きはこの発言内容と矛盾しており、SNS上では「126倍と語っていたのに売却したのか」と疑問を呈する声や、「投資家を出口流動性にしている」と批判する投稿も見られた。
HYPEは18日、60ドルにまで迫る上昇を見せたが、その後はこの節目を突破できずに下落。執筆現在は直近安値を実体レベルで下抜けており、市場心理は売りへと傾いている。ヘイズ氏がHYPEを売却した真相は定かではないが、売りに傾く現状を見て、一旦の利益確定を狙った可能性も否定できないだろう。

ヘイズ氏の売り抜けという事実は、売り圧が優勢なHYPEの下落をより助長する要因になり得る。ただし、テクニカル的には現在の50ドル水準が過去の高値ラインと重なるため、押し目を狙った買いが加速する可能性もないとは言い切れない。このまま続落か、それとも反発上昇を見せるかに市場の注目が集まっている。
ヘイズ氏の発言と行動のギャップは投資家の不信感を招き、HYPE価格の見通しに暗雲立ち込める結果をもたらした。今後のHYPEは同氏の動向と価格推移が絡み合う形で、波乱含みの展開が続きそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.83円)