暗号資産(仮想通貨)取引所「BitMEX(ビットメックス)」の元CEOであるアーサー・ヘイズ氏は23日、自身の公式Medium(ミディアム)に新たなエッセイを公開し、2028年にビットコイン(BTC)価格が340万ドル(約5億円)に到達するとの見解を示した。同氏の大胆な予測の背景には、トランプ政権による金融政策の思惑と連邦準備制度理事会(FRB)の支配シナリオがある。
マネープリンティングによりBTCは最高の投資資産に
ヘイズ氏はトランプ政権が米国経済再活性化の手段として、1942年から1951年に採用された「イールドカーブ・コントロール(YCC)」を再導入する可能性が高いと指摘。中小企業への融資で地域銀行が利益を上げやすくすることで、経済成長のエンジンをウォール街からメインストリートへシフトさせる狙いがあると同氏は見ている。また、FRBが資金を印刷して買い支えを行えば、政府の利払い費用が削減され、財政赤字を抑制できると付け加えた。
この大胆な政策実行のためには、トランプ政権がFRBを完全に支配することが不可欠だとヘイズ氏は指摘する。しかし、現在のFRBはトランプ政権の意向に従わないとし、同政権が政治的な手段を取ると同氏は予測。トランプ陣営が連邦準備制度理事会(FBOG)の過半数議席を確保し、連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーを掌握することで、政策運営を主導する可能性があるとヘイズ氏は指摘。これにより、FRBの公開市場操作口座(SOMA)を通じた長期国債の大規模購入が実現し、YCC政策を強力に推進できるようになる構えだ。
ヘイズ氏の投稿の核心は、この大規模な金融緩和とFRB支配が、ビットコイン価値を飛躍的に高めるという点にある。同氏は2028年までに政府と銀行システム全体で創造される信用が、ビットコイン価格を過去の傾向に基づいて押し上げると試算。2028年までに約15.2兆ドル(約2,247兆円)規模の信用が創造され、これがビットコインに流入することで、1BTC=340万ドル(約5億円)に達する可能性があると強気な見解を示した。
ヘイズ氏は「もしトランプ政権が国力回復のために本格的なマネープリンティングに踏み切れば、ビットコインは最も魅力的な投資対象となる」と結論付けている。同氏の予測どおりに価格が推移するかは不透明ではあるが、米国の金融政策とビットコイン市場の動向には今後も一層の注目が集まりそうだ。
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