ドルの流動性や米国の債務上限問題が価格に与える影響とは
暗号資産(仮想通貨)取引所「BitMEX(ビットメックス)」の共同創業者アーサー・ヘイズ氏は7日、自身のエッセイ「Crypto Trader Digest」で、ビットコイン価格が今年3月中旬に短期的なピークを迎える可能性があると予測した。
ヘイズ氏曰く、ドルの流動性とビットコイン価格には強い相関関係があるとのことだ。ドルの流動性が増加する局面ではビットコイン価格が上昇し、逆に流動性の減少で価格が下落する傾向が見られるという。
具体例として、2022年第3四半期、FRB(米国連邦準備制度理事会)が運用する「RRP(リバースレポファシリティ)」に多額の資金が吸収され、ドル流動性が低下したことでビットコイン価格が一時的に底を打った状況を挙げている。その後、RRPの金利引き下げに伴い資金が市場に戻り、ビットコインや米国株が上昇基調に転じた。この流れは現在も続いているとヘイズ氏は指摘している。
FRPは現在、月額600億ドル規模の量的引き締め(QT)を継続しており、第1四半期に1,800億ドル相当の流動性が削減される見通しだ。しかし、RRP残高の減少に伴い、約2,370億ドルの資金が市場に供給されると予想され、全体では570億ドルの純増加となる見込みだ。
また、米財務省は債務上限問題に直面しており、一般勘定(TGA)の既存資金を活用して政府支出を賄っている。これにより一時的にドル流動性が増加するが、債務上限が引き上げられると新たな国債発行による流動性の減少が懸念される。
ヘイズ氏は、これらの要因が重なることで、3月中旬にはドル市場全体の流動性が最大化し、ビットコイン価格が短期的なピークを迎える可能性が高いと結論づけた。
ただし、その後の市場には注意が必要だ。4月の米国の納税期限が迫る中、多額の税金支払いによりドル流動性が一層低下し、ビットコイン価格に下落圧力がかかることが予想される。実際、2024年にもビットコイン価格が3月中旬に約73,000ドルの高値を記録した後、4月15日の納税期限が近づくにつれて価格が下落した。
量的引き締めの見通しや債務上限の引き上げが実現するかは依然として不透明だが、ビットコインの保有者にとって今後数ヶ月間は特に注意が必要な局面となるだろう。
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