イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は4日、レイヤー2(L2)に関する従来の戦略を見直し、新たな方向性を提示した。
L2のステージ2への進展が予想より遅れていることと、レイヤー1(L1)自体のスケーリングが進んでいることを受け、L2を「イーサリアムのブランド付きシャード」として扱う従来のビジョンは機能しなくなったと指摘。L2は単なるスケーリング以外の独自の付加価値を提供すべきだとした。また、ネイティブ・ロールアップ・プリコンパイルの重要性を強調し、イーサリアムとの安全で強力な相互運用性を実現する必要性を訴えた。
従来のL2ビジョンは機能しなくなった
ヴィタリック氏は、L2の当初のビジョンが「イーサリアムの完全な信用に裏打ちされたブロックスペースを提供すること」だったと振り返った。しかし現在、2つの事実がこのビジョンを時代遅れにしている。
第一に、L2のステージ2(完全な分散化と信頼最小化)への進展が予想以上に遅く困難だった。一部のL2は顧客の規制要件のため、意図的にステージ1以上に進まない選択をしている。第二に、L1自体がスケーリングを進めており、2026年にはガスリミットの大幅増加が予定されている。
ヴィタリック氏は「L1はL2を『ブランド付きシャード』として必要としていない。なぜならL1自身がスケーリングしているから」と述べ、L2を「イーサリアムそのもの」として扱う考え方を改めるべきだとした。
L2が取るべき新戦略
ヴィタリック氏はL2運営者に対し、以下の3点を推奨した。
- スケーリング以外の付加価値を明確化
- プライバシーに特化した非EVMのVM(仮想マシン)
- 特定アプリケーションに最適化された効率性
- L1でも実現できない極端なレベルのスケーリング
- ソーシャル、アイデンティティ、AI向けの全く異なる設計
- 超低遅延やその他のシーケンシング特性
- オラクルや分散型紛争解決など「計算的に検証不可能」な機能の組み込み
- 最低でもステージ1を達成
ETH
ETHやイーサリアム発行資産を扱う場合、ステージ1は必須。そうでなければ「ブリッジ付きの別のL1」に過ぎず、そう名乗るべきだとした。 - イーサリアムとの最大限の相互運用性をサポート
ただし、非EVMや非金融アプリケーションの場合は実装方法が異なる。
ネイティブ・ロールアップ・プリコンパイルの推進
ヴィタリック氏は、ネイティブ・ロールアップ・プリコンパイルの価値を強調した。これはZK-EVM証明を検証するプリコンパイルで、「イーサリアムの一部」として以下の特性を持つ。
- イーサリアムと共に自動アップグレード
- プリコンパイルにバグがあればイーサリアムがハードフォークで修正
この仕組みにより、セキュリティ・カウンシルなしの完全なEVM検証が可能になる。ヴィタリック氏は「L2が『EVM+その他の機能』である場合、ネイティブ・ロールアップ・プリコンパイルがEVMを検証し、『その他の機能』についてのみ独自のプルーバーを提供すればよい」設計を目指すべきだとした。
これにより、イーサリアムとの安全で強力な信頼最小化された相互運用性が実現し、同期的コンポーザビリティ(リアルタイムでの組み合わせ可能性)も可能になる。
パーミッションレスなエコシステムの現実
ヴィタリック氏は「一部のL2は信頼依存型やバックドア付き、その他の不安全な要素を追加するだろう。これは開発者が自由を持つパーミッションレスなエコシステムでは避けられない」と認めた。
その上で「われわれの仕事は、ユーザーにどのような保証があるかを明確にし、可能な限り強力なイーサリアムを構築することだ」と述べ、L2の多様性を認めつつ、ユーザー保護と透明性を重視する姿勢を示した。
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