スコット・ベッセント米財務長官は9日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿と自身のXへの投稿で、暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「クラリティ法案」の即時可決を米議会に求めた。同日、SEC(米証券取引委員会)のポール・アトキンス委員長、CFTC(米商品先物取引委員会)のマイケル・セリグ委員長もXで法案支持を表明し、米政権の規制当局トップ3人が足並みを揃えた。
ベッセント長官「金融の未来が他国に移る」と警告
ベッセント長官はWSJ寄稿の中で、明確な暗号資産ルールがなければアブダビやシンガポールといった規制整備の進む地域にイノベーションが流出すると警告した。Xでは「議会は金融の未来を国内に取り戻すための枠組み作りに5年近くを費やしてきた。上院銀行委員会が修正審議を行い、クラリティ法案を大統領の机に届ける時だ」と投稿している。
アトキンス委員長は「議会が動けば、SECとCFTCは直ちにクラリティ法案を実施できる態勢にある」と述べ、SEC主導の規制整備プログラム「プロジェクト・クリプト」がすでに実装準備を完了していることを強調した。セリグ委員長も「将来の政権交代で覆されない法律で、米国のデジタル資産市場を守るべきだ」と同調している。
コインベース CEOが方針転換──2度の反対から支持へ
注目すべきは、同日にコインベースのブライアン・アームストロングCEOがクラリティ法案への支持を表明したことだ。アームストロング氏はベッセント長官の投稿に直接返信する形で「同意する。クラリティ法案を通すべき時だ」とXに投稿した。
同氏は今年1月と3月の2度にわたり、ステーブルコインの利回り支払いを制限する条項を理由に法案への反対を表明し、上院銀行委員会の修正審議を事実上頓挫させた経緯がある。米最大手取引所トップの方針転換は、法案成立に向けた最大の障壁が取り除かれたことを意味する。
クラリティ法案の概要と今後のスケジュール
クラリティ法案は、デジタル資産がSECとCFTCのどちらの監督下に置かれるかを明確化し、取引所の運営基準や投資家保護措置を連邦法として定める包括的な市場構造法案だ。2025年7月に米下院を294対134の超党派で通過し、現在は上院での審議待ちとなっている。
上院銀行委員会のティム・スコット委員長は4月下旬の修正審議を目指しており、ビル・ハガティ上院議員も「4月中に委員会を通過させられる」との見通しを示している。ただし、5月までに上院本会議での採決に至らない場合、11月の中間選挙を控えた政治日程により、立法が来年以降に持ち越される可能性が指摘されている。
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