国産Web3ゲーム「TOKYO BEAST」、8月24日でサービス終了へ──リリースから2ヶ月半で早期終了

伊藤 将史
14 Min Read
Tokyo Beast公式HPより引用

運用コストの維持困難が理由、USDCでの異例の補填対応を発表

SBIホールディングスやCygames(サイゲームス)、gumi(グミ)といった大手企業が支援する国産Web3ゲームとして大きな注目を集めた「TOKYO BEAST(トウキョウ ビースト)」が22日、2025年8月24日をもってサービスを終了することを発表した。6月9日の正式リリースから、約2ヶ月半での突然のサービス終了となる。

サービス終了の経緯と今後の展開

「TOKYO BEAST」のプロデューサーである本橋直樹氏は公式noteを通じて、「運用コストとのバランスを取ることが困難な状況に至った」ことがサービス終了の理由であると説明。ステークホルダーとの協議を重ねた結果、苦渋の決断に至ったとしている。

プロジェクトのガバナンストークンである「TOKYO GAMES TOKEN(TGT)」は、今年5月に複数の海外大手取引所に上場したものの、その後は価格が低迷。上場直後から右肩下がりに価格を下げ続け、本稿執筆時点では0.00749ドル(約1.1円)と、厳しい状況が続いていた。

TGTの価格チャート
出典:TradingView

一方で、TGTおよび運営母体の「TOKYO GAMES Foundation」は今後も活動を継続し、「すでに第2弾以降のタイトルの話も進行中」であるとして、今後の展開に期待を寄せてほしいと述べている。

ユーザーへの補填内容とスケジュール

運営チームは、ユーザーへの補填をステーブルコイン「USDC」で行うという異例の対応を発表した。これは、TGTで補填した場合に価格下落で補填価値が不安定になることや、TGTへの過度な売り圧を避けるための判断だという。

【補填内容の詳細】

  • 全額補填の対象:
    • 未使用のゲーム内通貨「GEM」
    • 一次販売で購入した「LUCKY TICKET NFT」
  • 評価額に基づく補填の対象:
    • BEAST NFT: 二次流通市場のフロア価格にミント価格($200)を加算した額を基準に、ランクに応じて分配。
    • BEAST RAWDISK NFT: 二次流通市場のフロア価格を基準に算出。
    • LUCKY TICKET NFT(二次流通分): マーケットプレイスでの平均価格を基準に算出。
    • その他、ゲーム内機能の利用回数などに応じても補填が行われる。
  • 補填方法:
    • 対象ユーザーのウォレットに対し、補填合計額に相当するUSDC(Immutable zkEVMチェーン)が送金される。

【サービス終了までの主なスケジュール】

  • 2025年7月22日(火) 17:00: ゲーム内ストアの販売終了
  • 2025年7月31日(木) 17:00: ステーキングなどの機能を持つ「TOKYO BEAST BASE」がサービス終了
  • 2025年8月24日(日) 17:00: ゲーム本体である「TOKYO BEAST TRIALS」がサービス終了
  • 2025年8月25日(月) 17:00: 有償アイテムの払い戻し申請受付開始(予定)
  • 2025年9月30日(火) 15:00: アプリ配信停止、払い戻し申請受付終了

運営は、ユーザーからの質問に答える場として、7月24日(木) 19:30より公式DiscordにてAMA(Ask Me Anything)を実施する予定だ。

大手企業の参画で期待を集めた大型プロジェクトの早期サービス終了は、持続可能なエコシステム設計の難しさを改めて浮き彫りにした。一方で、USDCでの手厚い補填対応は、最大限の誠実な対応と言えるため、TGTおよび「TOKYO GAMES Foundation」の次回作を期待して待ちたいところだ。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.58円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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