国内有数の個人投資家として知られるテスタ氏は22日、自身の公式Xを更新し、暗号資産(仮想通貨)のビットコインを初めて購入したことを明らかにした。これまで株式投資を中心に活動し、暗号資産には慎重だった同氏の参入は、日本の個人投資家層に大きなインパクトを与えそうだ。
知人の勧めで「しぶしぶ」購入
テスタ氏の投稿によると、購入額は現時点で5,000万円。さらに価格が下落した場合には、追加で5,000万円を購入する計画があるという。今回の購入に至った経緯について、同氏は知人の投資家から資産分散の観点でビットコインを勧められたことを挙げている。
テスタ氏は「(知人に)言われて、しぶしぶのしぶしぶのしぶしぶに買った」とユーモアを交えて投稿し、「儲かったら自分の実力、損したら知人のせいにする」と、彼らしいユーモアでフォロワーを沸かせた。
また、同氏は「まさか40万円くらいの時見てたのを1340万で買うことになるとは」とも記しており、過去に安値圏でビットコインを認識していたものの購入せず、今回大幅に上昇した価格で参入することになった心境を吐露している。
過去には「適正価格がない」と慎重姿勢
テスタ氏は2024年8月26日に開催されたWeb3カンファレンス「WebX」のセッション「ビットコインは投資家のポートフォリオに必要か」に登壇した際、「暗号資産には株のPBRのような、価格が大きく下がったときの判断材料になるようなものがあるのかが不安である」と述べ、適正価格を測る客観的指標がないことへの懸念を示していた。
同氏は当時「聞けば聞くほど怖い。どこが適正価格か分からないのと、下がったときの下支えがないと、パニック的な売りが起きるのではないか」としながらも、「暴落すれば買ってもいいかな」とも語っていた。約1年3か月を経て、その発言が現実となった形だ。
保守的投資家層への影響に注目
今回の購入額5,000万円は、テスタ氏の資産規模からすれば少額での様子見に過ぎない。しかし、株式など伝統的資産での運用を貫いてきた同氏が暗号資産を組み込んだ事実は、市場の成熟を示す象徴的な出来事と言える。
フォロワー数も含め、国内で絶大な影響力を持つテスタ氏の動きは、これまで暗号資産に懐疑的だった保守的な株式投資家層の心理を軟化させる可能性がある。「負けない投資」を掲げる人物が参入したことで、ビットコインが投機対象から「資産防衛のための分散投資先」として認知される流れが加速するかもしれない。
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