英中銀副総裁「経済影響なければステーブルコイン保有上限を解除」

ヤマダケイスケ
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イングランド銀行(BOE)のサラ・ブリーデン副総裁は15日、現在検討中のステーブルコインに関する保有上限措置について、実体経済への脅威が解消されたと判断した場合に解除する意向を示したことが明らかになった。16日、ブルームバーグがその詳細を報じている。

米国に遅れ取らぬよう年内にも協議開始へ

ブリーデン副総裁はワシントンで行われたパネルディスカッションで、「ステーブルコインの急速な普及は銀行預金の流出を引き起こし、企業や家計への信用供与を阻害するリスクがある」と指摘。こうした金融安定上の懸念を踏まえ、BOEは個人や企業によるステーブルコイン保有に上限を設ける方針を検討しているという。

BOEが示す具体的な保有上限は、個人が2万ポンド(約400万円)、企業が1,000万ポンド(約20億円)とされており、これらの上限は将来的に引き上げられる可能性が示唆されている。一方、国内のスーパーマーケットなど、事業規模の大きい企業については例外規定を設ける方向で調整が進められているという。

しかし、ブリーデン副総裁はこれらの制限措置があくまで「一時的なもの」と強調。ステーブルコインが実体経済への資金供給を阻害しなくなったと確認できれば制限を解除すると述べた。この緩和的な対応発表は、「保有上限措置によってポンド建てのステーブルコインの普及が阻害される」という専門家の懸念を受けたものと見られている。

また、ブリーデン副総裁はステーブルコイン利用者が将来的に急増する可能性を考慮し、「後から規制を緩和・修正するよりも、導入段階で慎重にルールを設ける必要がある」とも主張。その一方で、米国をはじめとする他国の動きに遅れを取らぬよう、年内にステーブルコイン規制に関する協議を本格化させ、来年には規制体制を最終決定できる立場になるだろうとの展望を語った。

BOEのこれからの対応は、「ステーブルコインを金融システムにどのように統合するか」という課題に直面する各国中央銀行の判断基準になりそうだ。英国が取るバランス重視の姿勢が、今後のステーブルコインを含む暗号資産(仮想通貨)政策の方向性をどう左右していくのかに注目していきたい。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ポンド=202.5円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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