リアルタイム配信に最適化、年内にDevnet開始
ブロックチェーン開発企業の「Aptos Labs」(アプトス・ラボ)と暗号資産(仮想通貨)インフラ企業の「Jump Crypto(ジャンプ・クリプト)」は24日、高速分散型ホットストレージ「Shelby(シェルビー)」の全貌を公開した。
これまで分散型ストレージは、「書いたら滅多に読まない」と割り切るコールド用途が主流だった。だがAIモデルの継続学習やライブ配信、DePIN型センサー網など、秒単位でデータを回収・再配信する需要が急増。そこでシェルビーは、世界各地の高性能ノードを専用ファイバーで束ね、キャッシュ層をチェーン直結にした。結果として「クラウドCDNと体感差なし」というサブセカンド応答を達成し、スマートコントラクトでDRM(デジタル著作権管理)や課金も完結させることを実現した。
開発ロードマップは明快だ。まず、Q4にDevnet(開発者向けネットワーク)を開放し、25年内にはパブリックテストネットへ拡大。さらにアプトス以外のEthereum(イーサリアム)やSolana(ソラナ)との相互運用を順次実装する。課金はクラウド同様の従量課金を想定しつつ、仮想通貨決済でガス代を極小化する設計だ。
経緯を振り返れば、アプトスは昨年秋の開発者大会で「コンセンサスの高速化」に関する方針を示し、ブロックチェーン性能の向上に注力していた。一方ジャンプ・クリプトは、相場のボラティリティ低下や規制リスクの高まりに直面し、トレーディング以外の新たな成長領域としてインフラ事業に軸足を移しつつあった。両社の利害が合致した結果、シェルビーは誕生した。
分散型ストレージは常に、速度か非中央集権かの二者択一に苦しんできた。シェルビーがそのジレンマを打破できるかは未知数だが、クラウド依存を揺さぶる一石となるのは間違いないだろう。現場の開発者にとっては、選択肢が一つ増えたというだけでも朗報だ。
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