追加資金4億ドル超を調達し、さらなる購入を示唆
米ナスダックに上場する「SharpLink Gaming(シャープリンク・ゲーミング、以下シャープリンク)」は15日、保有するイーサリアム(ETH)の総量が280,706 枚(約1,268億円相当)に達し、世界最大のイーサリアム保有企業となったと発表した。
7月7日から7月13日の1週間で、シャープリンクは74,656 ETHを加重平均価格2,852ドルで取得。この取得に先立ち、7月7日から11日にかけて、同社はAt-The-Market(ATM)制度を通じて普通株式24,572,195 株を発行し、約4億1,300万ドル(約615億円)の純収益を調達した。そのうち、約2億5,700万ドル(約382億円)は今後のイーサリアム購入のために残っているという。
収益化の観点でも進展が見られた。シャープリンクは、7月11日時点で全イーサリアム保有量のうち99.7%をステーキングプロトコルに割り当てており、保有資産からの収益最大化を図っている。7月7日から11日までの期間には94 ETH(約4,246万円)の報酬を得ており、財務戦略の開始以降、累計で415 ETH(約1.8億円)を獲得した。
また、同社は独自に開発した「ETH Concentration(ETH集中度)」と呼ばれる指標を用い、自社のイーサリアム保有量と資本構成との関係を明確にしている。この指標は、「ETH総保有量 ÷ 希薄化後株式数(1,000株単位)」で計算される。6月13日時点では2.00だったETH集中度は、7月13日には2.46へと上昇。1か月あまりで23%の増加を示している。
企業が暗号資産(仮想通貨)を財務資産として採用する動きは徐々に広がりを見せているが、シャープリンクのようにイーサリアムを主軸とする例は先進的である。特に、株式発行による資金調達とステーキングの組み合わせは、財務戦略とブロックチェーン技術の融合という観点からも注目される。今後は価格変動リスクや規制動向への対応も含めて、企業の暗号資産運用に対する成熟度が問われる局面が続くだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.95円、1 ETH=451,740円)