トークン化資産やDeFi、RWAなど多様な用途を見据えた連携
米Ripple(リップル)社は26日、レイヤー1ブロックチェーン「XRPレジャー(XRP Ledger:XRPL)」および「XRPL EVMサイドチェーン」に、クロスチェーン相互運用プロトコル「Wormhole(ワームホール)」が統合されたことを発表した。
これにより、開発者はXRPや発行済み資産(IOUs)、多目的トークン(MPTs)といったXRPL上の資産を、35以上の対応ブロックチェーン間で移転可能になるほか、スマートコントラクト間の相互運用やデータトリガーによる処理も実現するという。
今回の発表は、トークン化資産やステーブルコインの普及を背景に、複数のブロックチェーンをまたいだ資産移動への需要が高まっていることを受けたものだ。XRPLは、オープンな金融インフラとして、シームレスかつ効率的な資産移転を支えることを目的としており、今回の統合はそのマルチチェーン機能の拡張を意味する。
ワームホールは2020年に設立されて以来、35以上のブロックチェーンエコシステムに対応し、200を超えるアプリケーションで活用されてきた。これまでに10億件超のクロスチェーンメッセージと600億ドル(約8.6兆円)以上の取引量を記録しており、BlackRock(ブラックロック)、Securitize(セキュリタイズ)、Apollo(アポロ)といった機関投資家にも利用されている。
リップルのCTOであり、XRPLの共同開発者でもあるデイヴィッド・シュワルツ氏は、「真のマスアダプションには、単一チェーンではなく、チェーン全体でのインフラ整備が不可欠だ」と述べ、「今回の統合により、XRPL上でネイティブに発行されたトークンが他のブロックチェーンに移動できるようになる」とその意義を説明した。
今回のリップルとワームホールの連携は、技術的な成熟を示すと同時に、実需を意識したインフラ整備の好例である。規制と実装のバランスを取りながら、より広範な相互運用性を備えるXRPLの進化は、機関投資家が安心して参入できる環境づくりに直結している。今後の応用範囲の広がりにも注目が集まるだろう。
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